短編
□音色
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お前に解るか?
この狂おしいまでの想いが
「秀麗・・・・・」
呼び掛けられ振り向く女を愛しいと思い始めたのはいつからだろう。
けれど愛してるなんて言葉言ったこともない。
言葉なんていらない
全て行動で示してやる
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満月美しき夜、誰もいないはずの部屋に一組の男女がいた。
女は涙を拭うこともできず、されるがままで・・・
男は意地の悪い笑みを浮かべて女を愛す
「秀麗、こっちを向け」
そして俺を見ろ
「んっ・・・せい・・・が・・・」
この女の周りには何故かいろんな奴が集まる。その内の大半はこの女に好意を持っている。そんなことに気付かない鈍感馬鹿なこの女は誰彼構わず笑顔を振り撒く。
俺にはそんな顔見せたことないくせに
それが何故か苛ついて、
酷く苦しくて・・・
胸が痛んだ・・・
「清・・・・雅・・・?」
でも今は違う、この時だけは。
笑って秀麗の頬を濡らす涙を舌で舐め取り、深い口付けをする。
何度も何度も、
舌と手で愛撫してやる。
そうすればお前は二胡なんかよりずっと高く澄んだ声をだす。
俺しか知らない顔
俺だけの声
今夜もお前に美しい音色を響かせる
美しく、激しく、狂った音色
甘くも美しく鳴くがいい
狂った旋律は俺を安堵させるから・・・・・
さぁ、響け
俺のためだけに・・・
E・N・D