短編

□狂わしき嘘
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どんなに言ったってお前はくじけずに俺に向かってくる
お前は目障りだった
どう消そうか考えたことなんてしょっちゅうだった
自信満々の甘ちゃんを



ーーーーー泣かせたい



そう思っていたのに・・・
お前は勝手に俺の視界に入ってきては俺の注意を全て奪う

この想い・・・

認めなかったモノ・・・

拒み続けていたのに・・・

いつからだろう
お前を想うようになったのは
いつからか思っていたのは、ただ・・・



ーーーーー鳴かせたい



自分の気持ちを受け入れたが、お前に真実を言うつもりはない
゙愛している″なんて言えるわけない・・・今更すぎる

「紅 秀麗・・・」

名を口にするだけで体が熱くなる
これも全てアイツのせいだ

「アイ・・・シテ、ル・・・」

自分で自分に嘲笑する
散々酷いことして・・・
アイツは何て言う?

俺は怖いのか?

アイツを失うのが?

手に入れてもないのに・・・

最近ずっとこんなことばかり考えてる

俺を狂わすのはお前

ならーーーーー

お前を壊すのは俺だ・・・








「紅 秀麗」

振り向くお前は露骨に嫌な顔を表す

その顔は嫌いじゃない
けど前とは何かが違う
胸が少し痛むのは何故だ?今なら分かる



ーーーーーガタッ



「ちょ、何すんのよ!!」

「黙れよ」

強い眼差し

「いい顔してるじゃねぇか・・・そそるぜ?」

「何馬鹿なこと言ってるのよ!!」

「俺は馬鹿じゃない・・・」

もし俺が馬鹿だとしたら、それは一つ

お前を好きになったこと

「紅秀麗」

「何よ」

サラリと髪を梳いて、顎を持ち上げる

「お前なんか大嫌いだ」

「私も清雅なんて嫌いよ」

嫌いと言った互いの唇が重なる



『嫌い』



互いに真実は告げぬまま



狂わしき嘘を・・・








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