短編

□罪深き嘘
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ねぇ、私は本当に君のことが気に入ってるんだよ?

「愛してるよ・・・」

囁けば君はたちまち朱に染まるけれども

「そういうこと言わないで下さい!」

君は私を拒む

「酷いね、こんなに好きなのに」

そっぽを向く君の手を取って軽く口付ける

「な、何するんですか!///」

「可愛いね」

「若様みたいな無駄に顔の良い人に言われても嬉しくも何ともありません」

「本当なのになぁ・・・」

そっと秀麗をベッドの上に座らせ、自分もその隣に座る

「ねぇ、今まで私が君に嘘をついたことがある?」

「・・・ない、ですけど」

「でしょ?ならもっと信じてくれてもいいのに」

「信じません。だいたい一番最初に名前とか色々偽ってたじゃないですか!」

「君だってそうだったじゃないか」

「あれは・・・!!」

「お互い様だよ」

腰を引かれ、密着する
朔洵の細く綺麗な指が秀麗の頬を滑る

「私をこんなに夢中にさせるのは後にも先にも君だけ・・・」

もう君以外はどうでもいいんだよ

「私のものになってくれたら、君の望むこと全てを叶えてあげる」

「そんなこと・・・」

「出来るよ。私ならね」

何でも出来る・・・
これも真実

今まで君に嘘をついたことがないというのも

真実・・・ーーーーだった

「君をこんなに愛してる」



だからこそ・・・



君を手に入れるためなら容赦しない



邪魔者は消す



私が討てないものなどないよ



例え、君の望みでも・・・



私は今、初めて君に嘘をついたよ



本当に愛してるから・・・



どうしても欲しいんだよ



「誰よりも君を想ってる」



耳元で囁いて・・・




君は気付いたかな?




「身も心も・・・私のものに」



指で顎を持ち上げ、見つめ合ったまま口付ける




この罪深き嘘を




愛するが故の




赦されざる嘘を






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