短編
□予想外
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本を置いた後、
「失礼します」
「やぁ秀君。久しぶりですねぇ」
「景侍郎、3日前に会ったばかりですよ」
「そうでしたか。秀君と一日でも会えないと寂しいですね。ねぇ黄尚書?」
景侍郎は後ろで仕事をしていた鳳珠へと振り返ったが、そこに鳳珠の姿はなかった
「調度お茶が出来たとこだ。お前も一緒にどうだ?」
(さっきまで黙々と仕事してたのに…)
「調度……ですか」
ジト〜ンと景侍郎は鳳珠を見るが、鳳珠はそれを無視した
「いいんですか?じゃあ一杯だけ」
はにかんだ笑顔に鳳珠は仮面の下で微笑んだ。三人はお茶を飲みながら談笑した。主に秀麗と景侍郎が会話して、そんな秀麗を鳳珠が見つめるというものである。それはもう隅から隅まで熱き視線で
「お茶有難うございました」
秀麗は景侍郎から目的の書類を受け取り、礼を述べて去っていった
「…あの秀君があの方と……」
景侍郎が横目で鳳珠を見た。だが鳳珠は気にせず一言発して仕事に戻った
「…それがどうした」
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「姫さん!荷物は俺が持つぜ」
貴陽に来ていた燕青は秀麗の元へ走ると自然な動きで秀麗の肩へと手を置いた。そんな密着状態にも関わらず秀麗は笑顔で燕青を見上げた
「有難う、燕青」
(その笑顔は反則だよな〜)
燕青はニカッと笑って秀麗の頭を撫でた。部屋に戻るとタンタンが二人を見て「あー…」と声を漏らした
「タンタン、さっきの終わった?」
「んー、さっき終わった。ついでにこれも終わる」
「今日は早いわね」
「……あのさぁ」
タンタンは燕青が秀麗の傍から離れず必要以上に密着しているのを見て何か言おうとした
「何?」
問う秀麗のちょい後ろから笑顔(目が笑ってない)の燕青と目が合って、あえなく断念した
「何でもない」(゙アイツ″に見られたらどうすんだよ)
傍から見ればイチャついてるように見えるが秀麗は気付かない。燕青はそれを知っててやっている確信犯である。
秀麗が筆を手にとろうとしたその時、部屋の入口から声がかかった
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