短編
□気付いたから
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何時からこんなにも想っていたのだろう。
「はぁ〜」
あからさまな溜め息をつくと劉輝が心配そうにこちらを見た、が絳攸によそ見するなと叱られていた。今日も夕飯時までに帰りたいと申請(という名の脅し)に来た静蘭は素知らぬふりをしている。
「はぁ〜、こんな悩んでる私の話しを聞こうとは思ってくれないのかい?」
「思わん」
絳攸は一言で切って捨て、静蘭は溜め息をつき、やる気のない「どうぞ、おっしゃって下さい」という目で楸瑛を見た。少し哀しい気分だ
「あ〜分かったよ、君達の仕事の邪魔しちゃ悪いしね、散歩でもしてくるよ・・・秀麗殿のことだったのだけれど・・・うぁっ!?」
秀麗の名が出た瞬間静蘭は楸瑛の後襟をつかみ取った
「悩みがあるなら聞きますよ?藍将軍」
静蘭は微笑んだ。だがその目は一切笑っていなかった・・・・・・
「いやね、私は何時からか秀麗殿のことを好きになっていて、この気持ちをどうしようかと悩んでいたんだよ」
その言葉に仕事をしながら聞いていた劉輝が勢いよく立ち上がった
「何!?では楸瑛と余はライバルなのか!?」
劉輝は慌てて、絳攸は茶を吹き出した。静蘭はそのまま微笑んだ状態だった。が、眉が一瞬ピクッとしたのを楸瑛は見たくもなかったが見てしまった
「何冗談言ってるんですか藍将軍?貴方ならまだ劉輝の方がマシです」
「まだ!?マシ!?」
劉輝はショックで椅子にズーンと座ってしまった。そんなのに気にせず静蘭は冷たい笑顔で先を進める
「本気なんですか?」
静蘭から発せられた言葉がやけに重く響いた。けれど何も恐れることなどない。この想いは本物なのだから・・・