夢の終わりに 第二幕
□そして噛み合う歯車
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二つの重なり合った歯車だ。
お互い全く違った形だが、きっちりと噛み合って規則的に動いている。
【星の動き・力の動き・そして人と人との出逢い。
この世の全て総ては巡り廻る。
太陽の沈む位置を決めたのは誰だ?
風の凪ぐ方角を決めたのは誰だ?】
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───わたしは、
生きていた。
───まだ、生きている。
どくどくと脈打つ自分の心臓が、煩い。
……視界が赤かったのは、
自分の血が散ったわけでも、
最期に見た幻覚でもなく。
『彼女』が投げ捨てた、赤い傘が視界に映ったからだった。
*
「…………大丈夫………?」
そう問うたのは、一人の少女。
両手にはカップの乗ったトレーを持ち、『彼女』は部屋へと入ってくる。
このアパートは、『彼女』が一人で住んでいるのだと、運ばれる途中に聞いていた。
「……鉄球を腕から出すなんて………何者なの?
でも、まぁ。
良かった、無事で───」
穏やかに話す『彼女』を見ていると、次第に胸の動悸が収まっていく。
混乱していた頭も、ゆっくりと冷えて、
そしてわたしの中に、ひとつの感情が沸き上がってきた。
それは、
感謝ではなく
安堵ではなく。
「……何故………」
「ん?」
憤怒ではなく、
ただ悲哀を少し帯びた、
「……わたしを……
……助けて……
………………
助けて……しまったんだ………!」
───それは、恐怖≠ニ、悔恨=B
.