パロディ

□『恋心』
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「げっ!!なんでピーマンいれんだよ!」

待ちに待った給食の時間。
けれど別段、小学生にも関わらず食に対する欲と言うものがあまり無い自分には、楽しみでも何でも無い時間だった。
そんな自分とは対照的に、るんるん気分でトレーを手に持ち列に並んでいたクラスメイトのシン・アスカが、突如大声を張り上げたものだからアスランは驚く。

「うるさーい!すききらいはダメなんだぞ!それくらいちゃんとくえ!」

次いで間髪入れずに耳に届いた舌足らずな声は、シンの対面に仁王立ちし、給食をつぎ分けていた当番の子からだ。
白いだぼだぼのかっぽう着を身に付けて、可愛らしく頬を膨らませて怒り出すのは、金色の髪と瞳が印象的な子。
今年小学校を入学してから早4ヶ月と経つ中、人見知りをするアスランにとって唯一気になる存在で、且つ気付けばいつも目で追ってしまっている女の子だった。

「そんなのアスハにかんけーないだろ!くえないもんはくえないんだ!つーかオレにばっかりピーマンいれすぎ!いやがらせかよ!」

ずいっとトレーを突きだし文句を言うシンにつられて、視線をそちらにやれば、
確かに多いかもしれない……
本日のメイン、ナポリタンスパゲティの上にはどっさりと山のように盛り付けられたピーマン達を見てアスランはシンに同感した。

「なっ…いやがらせなんかじゃないんだぞ!わたしはオマエのピーマンぎらいをこくふくさせようと…!」

「よけいなおせわだ!」

「なんだと!シンのくせに!」

「なんだよ、そのシンのくせにって!?」

「うるさーい!つべこべいわずにさっさとせきにもどれよ!ピーマンにしつれいだろ!」

「しつれいなわけあるか!アスハだってニンジンきらいなくせに!ずりーぞ!」

「き、きらいじゃないぞ!にがてなだけだ!」

「おんなじだ!」

「ち、ちがう!」

目の前でてんやわんやと言い争いを繰り出した二人に、何となくアスランはやきもきする。
毎度の如く何かある度にこの二人の喧嘩が繰り広げられるのだが、その度にアスランの胸がもやもやと心地悪さを感じるのだ。
まさに今がその瞬間なのだが。
その引っ掛かりを遮断するかのように、金色の瞳とばちりと目が合った。
途端、アスランの胸がドキリと跳ね出す。

「な、アスランもなんとかいってくれ!すききらいはダメだよな?」



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