パロディ
□『誓いの口づけ』
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「どうだ?似合うか?」
「似合いますよ、とても。すごく綺麗です……」
「そうか。それなら良かった。お前にそう言って貰えるなら、このドレスも着たかいがあったと言うものかな」
カガリは少しだけ寂しそうに笑って、再びアスランに背を向けた。
太陽に反射してきらびやかに光を放つオーブの海に視界をとめ、カガリは瞳を細める。
静かな決意の色が、その琥珀にはひっそりと潜んでいた。
「……お前は幸せだったか?」
カガリは不意に、思い浮かんだ問いをぽつりと零した。
「ええ、幸せでしたよ、貴女のお側にいられて。もうその役目も終わってしまいますが……」
「私の側が、か?お父様の気まぐれで拾われて、鳥籠の中に押し込められたような人生が?」
カガリは皮肉な笑みを漏らした。
よくも幸せだったと、彼は言えたものだと思う。
私の為に生き、私の為に死ぬ事を強いられた彼の人生が、到底幸せなものだとは思えない。
彼の人生を潰したのは、私と父のようなものなのに。
「それでも、幸せだと思えるほどに貴女のお側は温かかった」
「馬鹿だな、お前は。そんなことで幸せだなんて言っていたら、これからの人生で幸せなんて掴めないぞ」
「だとしても、これからの俺の人生に幸せなんて一つもあり得ませんから、別に良いんです」
背後にいる彼の表情は見えずとも、彼がにこりと笑って見せたのがカガリには分かった。
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