パロディ

□『誓いの口づけ』
1ページ/11ページ

あなたが、
ただ、一言

逃げたいと
そう、言ってくれたなら










──鳥籠の中に押し込められたような人生が?



無理矢理に型どる彼女の表情(かお)が悲しかった。
彼女が、ずっと俺に負い目を感じていたのは知っていた。
時折に、ふと思い出したように彼女は切なげに瞳を細めて、口癖のように零していたから。

違うのに。そうではないのに。彼女は言うのだ。

「すまない」、と。

そう言って、儚げに笑みを浮かばせる彼女に、何度不甲斐なさで血が滲む程、拳を握り締めた事か。




幸せだった。
側にいれるだけで。

彼女の側は、いつも温かかったから……

ずっと、その幸せに身を寄せていたかった。

そう、思っていた。



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ