本編沿い

□『眠り姫の王子様』
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【眠り姫の王子様】




「…ん…」


夕暮れの暖かい光が辺りを包む。
橙色の包み込むような優しい光を浴び、眠り姫が夢から覚めようとしていた。


温かい。
至極優しくて心地好い温もりが衣服を通じて伝わる。
なんだろう…?
カガリはゆっくりと瞼を上に持ち上げた。
まだ完全に覚醒していないせいか、ゆらゆらと視界が揺れる。
暫くその調子が続き、ぼおっと一点を見つめていると段々と視界がハッキリとしてきて。
カガリは自分がソファーで寝ていた事に気が付く。
あ…そうか、私…
いつの間にか職務を途中放棄して眠ってしまっていたらしい。
その事に顔をしかめながら、まだあまり力の入らない体で、起き上がろうと腕に力を込めた。
しかし何かがひっかかって体が持ち上がらない。
ん…?と、首を傾げながらカガリが両の瞳を瞬かせていると。
不意に藍色の鮮やかな色が視界の端に映った。
その色の持ち主は自分が求めて止まない人で。
視界の端に捉えた色を今度はくっきりと捉え、カガリはゆっくりと瞳を見開いた。


「…っ…!?ぇ、え!?アス──!?」


そこには自分を包み込むように抱き締め、眠りに就いている恋人の姿。
それに漸く気付いたカガリは一気に頬を染め、硬直する。



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