頂き物

□焦がれても手に入らないもの
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私はその姿を良く見ようと任されていた書類を投げ出し持っていたペンをデスクに転がした。すると墨を含んでいたペン先からこぼれた黒が紙を遠慮なしに汚して行く。それすら構わず私は窓際に立つと太陽の光を受けキラキラと輝く金髪に目を細めた。額に僅かに滲む汗も、真剣で真っ直ぐな双眸も、騎士達に檄を飛ばす声も、ひたむきに国を想う心も、私にとって彼の全てが眩しくて仕方がない。


きっと彼は太陽に愛されているのだ。だから汚れきった私にはこんなにも眩しく、時には不器用ながら優しい温もりをくれる。眩しい、嗚呼とても眩しい私の太陽。人はいつでも太陽に恋い焦がれ、その輝きに安堵する。
太陽に焦がれる余り蝋で固めた翼で大空を羽ばたき、太陽に近づき過ぎた英雄は哀れにも翼を溶かされ地に落ちたと言う。ならば私もいつか翼を折られ地に伏せるのだろうか。


ロッテ、ああシャルロッテ。


決して手に入らない太陽を求めもがく私は愚かだろうか。
君以外の人を想い求めてしまうのは罪だろうか。苦しい、苦しくて堪らない。このまま思いのままに泣き叫べばこの苦しみが少しは紛れるだろうか、嗚呼なんて愚かな考え。私の涙など遠い昔に枯れ果ててしまったと言うのに。


「アルバレス将軍!」
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