夢T

□兎。
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「ばにーちゃん!」


「何いきなり」


「寝てるのつまんない」


「寝てようね病人」


「やーだー」



ワックスで固められた僕の髪の毛をぐしゃぐしゃと両手で引っ張り上げて栗だとかウニだとかウサ耳だとか角だとかとやかく言ってる×××。

珍しい事に今の彼女は普段より赤い頬をして、額にはお決まりの冷却シートが貼られている。

数時間前、いつもよりぐったりしている彼女を見てチェルベッロに持ってこさせた体温計で有無を言わさず熱を計らせたら38℃もあったから強制的にベッドに放り込んだんだよね。

けど、何でか彼女は具合が悪い割くせに騒ぎたがる。




「白蘭テレビつけてー。でこぼこフレンズ見るー。あのぽわっとしたはなはなまろんが見たいんだよー」


「(教育テレビ、いつにも増して幼稚な…、)ダーメ。熱があるんだから寝てなきゃね?」


「いえーい!でっこぼこフレーンズ♪」


「………あ、(この子いつの間にリモコン取ったの?)」



普段そんなにうまく気配消せないくせしてこんな時だけなんでうまくなるんだか。


テレビがつけられて室内が騒がしくなる。ついたチャンネルはどうやらニュース番組をやっていたようで───……で、会社員の山中 武さんと見られる遺体が──……、面白いことを言っていた。


これアレだよね、γクンとこの下っ端がミスった……、



「でっこぼこフレーンズー♪」

「×××チャン……、」



そんな、"当たり障り無い"ニュースなんて気にも止めないのか彼女はあっさりとチャンネルを変えた。


流れる音楽は幼児向けのお着替えソング。下着姿の幼児が恥ずかしそうにうつむきながら流れる曲に合わせてパジャマに着替えている。




きっと彼女はこの後………、





「わー、コレって幼児趣味の皆さんにはおいしいね!」

「(やっぱり)はぁ……、」

「んー?どしたの白蘭?ため息吐いたら幸せ逃げるよ?」

「いや。予想通りの事を考えるなって思ったらつい、ね?」

「うん………?」



わけわかんないけどまあいいやと、彼女は呟いてくてんと僕の脚に頭を乗せた。

白いそこに散らばる黒い髪は艶こそ少ないもののさらさらと触り心地がよくてついつい手で梳いてしまう。


「×××チャンの熱下がったら、お風呂入ろ?」

「……うん。霧のリング用意しといてね」

「なんで?」

「お風呂ではなはなまろん見たいから。それにウサ耳着けた白蘭が見たいなって思ったからついでに?」


疑問を解答と疑問で返されて苦笑していると彼女が見たがっていたミニアニメが始まった。

嬉々として画面に食い入る姿に発熱から来る頭痛は大丈夫なのだろうかと心配する反面、この分ならすぐ良くなるだろうと笑みをこぼして再び彼女の頭を優しく撫でた。



end
(白蘭!白蘭!今日はあたりだよはなはなまろん来た!かわいいねーこれ!)(そう?僕は×××チャンの方がかわいいと思うけどな?)(びゃっくんのキザ!)







なぜ兎から教育テレビネタになったのか自分でも全くわからない←
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