銀魂
□俺と恋人とその部下
1ページ/2ページ
最近の子供は頼もしい。
「あれ、総一郎くん?」
「総悟でさぁ、旦那」
大串くんのいる屯所に行く途中、河辺に座り近くの何の罪もない雑草を引っこ抜いている、恋人の部下の沖田総悟に出くわした。
彼は俺の姿を確認すると、また、視線を雑草に移した。
よく見れば、彼はいつもの暑苦しそうな隊服ではなく、シンプルな私服を着こなしていた。
「どうしたの?暇そうだねー」
「今日は非番でさぁ」
特に急ぐ用事もなかったので、俺は沖田くんの隣に座った。
「聞きましたぜぃ、旦那。土方さんと付き合ってるらしいじゃねぇですかぃ」
「あぁ、まぁね。成り行きで」
笑いながら冗談を言ってみた。
成り行きではなくて、かなり真剣にお付き合いしている。
「旦那も男を見る目がねぇですよ」
「そう?結構見た目は良いと思うけど?」
見た目はいいと思う。
俺よりちょっとだけ、だけどね。
「見た目がいいからいけねぇんですぜぃ」
沖田くんは雑草をブチブチ千切りながら、俺を見た。
「あのクソヤローはムカつきますが、かなりモテるんでさぁ。だから、旦那を悲しませるかも知れやせん」
「俺、そんなに嫉妬深い男に見えるー?」
「土方さんの方が嫉妬深いでさぁ。…まぁ、つまり俺が言いたいのは、」
ブチッ、と今までで一番鈍い音がした。
沖田くんは手を顔らへんまで上げ、ゆっくり開いた。
千切られた草が、はらはらと舞っていく。
「もし、あのクソヤローのせいで旦那が悲しい思いをしたのなら、俺に連絡下せぇ。全力で旦那の前から奴を排除しまさぁ。…俺は、旦那の味方ですから」
ニッコリ笑う沖田くんは黒い。
でも、何故か頼もしい。
「じゃあ、沖田くんに一番に連絡するわ」
俺も笑顔で返す。
最近の子供は頼もしいなぁ…。
…ま、大串くん。
沖田に排除されたくないのなら、俺にしっかり構ってよね?
END
→
あとがき