リクエスト
□林檎色
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真っ赤に熟した果実にかぶりつけば、
それは更に赤く染まった。
「なっ……なにするんだよ、いきなり!」
唇を拭いながらテイトが叫ぶ。
俺はさっきまでテイトの赤い唇に触れていた、自分の唇を舐めた。
「何って…キス?」
「何で疑問系…」
いつもはタバコの味しかしない俺の唇だが、なんだか今日は甘く感じた。
きっとテイトの唇の味だ。
「甘ぇ…」
「フラウのは苦いよ」
「そうか?」
あまり気にした事がなかったが、言われてみたら苦いかもしれない…。
最近、タバコ吸いすぎたかもなぁ…。と、頭をガシガシと掻く。
「でも…俺、その苦い味……好きだな」
「……あ?」
「なんか…その……大人の味がするって言うか……」
もじもじしながらそう言うテイトに、愛おしさを感じた。
「俺もお前の唇の味、好きだぜ?」
「え…?」
「林檎みたいな…熟した果実のような甘い味がする」
ちゅ、と触れるだけの口付けをしてやれば、テイトの顔は林檎のような色に染まった。
(真っ赤な君の唇にかぶりつけば、)
(更に君は赤く染まった。)
END
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あとがき