リクエスト

□林檎色
1ページ/2ページ






真っ赤に熟した果実にかぶりつけば、

それは更に赤く染まった。






















「なっ……なにするんだよ、いきなり!」


唇を拭いながらテイトが叫ぶ。

俺はさっきまでテイトの赤い唇に触れていた、自分の唇を舐めた。


「何って…キス?」

「何で疑問系…」


いつもはタバコの味しかしない俺の唇だが、なんだか今日は甘く感じた。

きっとテイトの唇の味だ。


「甘ぇ…」

「フラウのは苦いよ」

「そうか?」


あまり気にした事がなかったが、言われてみたら苦いかもしれない…。

最近、タバコ吸いすぎたかもなぁ…。と、頭をガシガシと掻く。


「でも…俺、その苦い味……好きだな」

「……あ?」

「なんか…その……大人の味がするって言うか……」


もじもじしながらそう言うテイトに、愛おしさを感じた。


「俺もお前の唇の味、好きだぜ?」

「え…?」

「林檎みたいな…熟した果実のような甘い味がする」


ちゅ、と触れるだけの口付けをしてやれば、テイトの顔は林檎のような色に染まった。



(真っ赤な君の唇にかぶりつけば、)

(更に君は赤く染まった。)







END



あとがき
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ