まるマ

□DON'T BAD DREAM
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あの時の夢を、今でも見るんだ。






















「はぁ…はぁ…っ」


頬を伝う涙で目を覚ます。

久しぶりに見たのだ、あの夢を。

コンラッドが、いなくなる夢を。

大シマロンからコンラッドが帰ってきたのは、もう1ヶ月以上も前の話だ。

1ヶ月ほど前は毎日、そういう夢を見ていたが、最近は全然見ていなかった。

だから、ショックも大きい。

コンラッドは、ちゃんと部屋にいるのだろうか?

そういう不安がたくさん出てくるのだ。























ペタペタ、と血盟城の廊下に音が響く。

その音は、何もはいていない足の裏と廊下が接触する音だ。

夜はかなり冷えるし、足の裏も冷たくなって来たが、俺は気にせず走った。

俺の部屋から一番近い、大好きな護衛の部屋まで。


「コンラッド、いる?」


遠慮がちなノックと共に、声をかける。

ひそひそ話のような音量で言ったが、コンラッドを起こすには充分な音量だったようだ。

慌てた様子の気配が、ドアに近付いてくるのが分かる。

それがなんだか可笑しくて、俺は少し笑った。


「ユーリ、どうしまし…た……か?」


ドアが開かれるのと同時に、俺はコンラッドに抱きついた。

突然の事に一瞬、コンラッドが驚いた顔をしたが、直ぐに俺を優しく抱きしめてくれた。


「なにかあった?」

「怖い夢を見た」

「どんな…?」

「あんたが…、いなくなる夢……」

「大丈夫だよ、俺はここにいます」

「……ん」


抱きしめられる力が、少し強くなった。

それで俺はコンラッドがここにいる、と感じさせられる。


「泣いていられたのですか?」

「当たり前だろ…」

「それは光栄ですね…」

「うるさい」


顔を見て冗談が言い合える。

それが一番の幸せだと思うんだ。


「俺から離れたら許さないから」

「えぇ、離れませんよ。離れろ、と言われても離れてあげませんから」





(あの時の夢を、今でも見るんだ)

(だけど貴方がいてくれるから、もう大丈夫!)





END



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