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□夜明け前
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俺は夜に強引に連れられ、地元では有名な廃病院にやってきた。だが、俺は今世にも恐ろしい体験をしている。そこには幽霊よりも怖いものがいた。

(夜のアホ!)
「だから俺は止めたのに…」

「おい、ここは俺たちの縄張りだ」

着いた途端、ギロリと不良数十人に睨まれた。不良達は病院の入り口の前でたむろっていた。
最近は幽霊だけじゃなく不良の溜まり場としても有名なこの病院。幸い、ここはあまり人が通らないため、騒いでも誰も気づかない。だから溜まり場にしているのだと思うが、彼らの背後に不気味に佇む廃病院。よくここを平気で溜まり場にできると思う。ここは出るのだ。もう中に入る前から嫌な空気がひしひしと伝わってくる。
ここから立ち去れと訴えている。ここは危険だ、俺は今すぐにでも帰りたい。


「ここは大人しく帰ったほうがいいんじゃ…」
「暁、男にはどうしても退けないときがある。心霊スポットが俺たちを呼んでいる。それに殴り合いなんて朝飯前だろ」
「そこで変な男気を発揮するな!むしろ、幽霊さんたちは帰れって言ってるぞ!お前も分かるだろ!それにあの不良たちと喧嘩する気かよ!てか今は朝じゃねぇし!」

喧嘩はそこそこできるが、基本平和主義だ。なんとかここは殴り合いじゃなく静かに事を納めたい。
だが、既に戦いのコングは鳴り響いていた。
夜は迫り来る不良を薙ぎ倒している。

「よ、よるっ?!」
(アンタこんなとこで騒動起こしたらまずいぞ、おい)

そして俺を巻き込むな。
どうするべきか考えていると俺の方にも拳が飛んできたので、それを避け、つい殴り返してしまった。

「あ」

やっちまったよ俺。
夜といれば色々と巻きこまれるのは当たり前。今に始まったことではない。
ああもう、こうなったらヤケだ。俺は知らん。
それから2人で数十人の不良を薙ぎ倒し、その屍(いや気絶しているだけ)を越え、いつものように中へと侵入した。
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