オリジナル

□夜明け前
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しかも憎たらしいことにイケメン。



俺に視線が集まる。彼はにまっと笑った。

「え、なに?」
「俺、二中の九条 夕陽!」


確かに彼が着ているのは隣の地区にある二中のジャージだ。

「君、三中の卒業式の日の夜、廃病院に行ったんだって?さっき女の子たちに聞いたんだ」

卒業式後、俺を含む後輩達が片付けをしてた中、夜があれだけ騒いでたからな。
卒業式までオカルトに夢中な夜から第二ボタンが貰えず泣いていた女子もいた。

「で、その日に廃病院で三中のヤツにやられたって聞いたんだけど、知らない?」

それって完全に俺たちじゃん。

「そんなこと知ってどうするんだ?」
「お礼いいたいの。適当に喧嘩してチームを作ったらなんか勝手に俺のこと崇める奴らが増えちゃっててさ」
「正直収拾つかなくてアイツらウザかったし。だけど人数多くて面倒だったから、変わりにやってくれてありがとうってね」
「それにアイツらをぶっ飛ばしてくれた奴の顔、見たいんだよね」


ようは、収拾がつかなくなったチームを壊してくれて有難うってことだろう。
なんか面倒だな。ここは適当にあしらうか。巻き込まれたくないし。今までの経験上、美形と霊に関わればろくでもないことが起こるのは目に見えている。

「俺、廃病院の前に来たらビビっちゃって逃げ帰ってきたんだ。だからあなたのお仲間については知らないけど…」
「ふーん…そうくるか」

夕陽は暫し考えると、驚くような早さで俺のポケットにあるスマホを奪った。

「え、あ、俺の」

素早くスマホを
いじると、俺に返した。

「これでいつでも君と連絡取れるね。芹川暁君」
「はぁ?」
「仲良くしようよ。中学は違うけど同い年なんだし」

夕陽は悪戯に笑った。悔しいがやっぱこういう時の美形は様になる。

「じゃあな、アッキー!」

アッキーて俺のことかよ。



「なにやってんの暁」
「うわぁ!なんだ夜か…」

「さっきの騒がしいのは誰?」


真新しい高校の制服に身を包んだ夜は不機嫌そうな顔をしていた。


「暁、暇だよね」
「暇じゃねぇーよ、俺は受験生だ!このアホが!」
「どうせ帰っても勉強せずにゲームでしょ?」

うっ、まさにその通りだが…
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