オリジナル

□ネタ
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「ねぇねぇ由奈センセ、デートしよっ」
「はいはい、元気になったらね」
「ちぇっ、いつもそればっかじゃん!」
「ふふふっ、大人をからかってはいけません♪」



「お前、由奈さんを口説いてんじゃねぇーよ」
「あ、搭汰」


城代出流。病弱で幼い頃から入退院を繰り返しているらしい。顔は良いから女性の看護師や女医さんを口説いたり、こっそり病院を抜け出しては遊びにいったりと散々らしい。
それでも大したお咎めを受けないのは、入院している病院の経営者の息子だから。
ある意味手に負えず、何度も主治医も変わった。
巡りに廻って、今回彼の主治医になった由奈さんは彼をうまくかわしていて、扱いも分かっているようである。
ちなみに由奈さんは事故で死んだ母さんの妹で、俺の後見人だ。

優しくて美人なのだが、仕事一筋でいい歳なのに結婚もまだである。美人なのでお声が掛かったりするのだが、本人はやはり自分の好きなことをやり通したいらしく、仕事一筋であった。
勿体ない。


「搭汰は俺と由奈先生が仲良くするの嫌?」
「別に」
(ていうか、由奈さんはお前なんか相手にしてねぇよ)
「あら、ヤキモチ?」
「違うから!」
「ムキにならなくても、搭汰はお子さまだな」
「お前もだろ!つーか、馴れ馴れしく呼ぶな!」

「はいはい、二人とも仲良しなのは分かるけど病院では静かにね。で、搭汰なに?」


「…着替え、今日宿直だろ」

ぐいっと押し付けるように渡す。今は夏だから汗もかくだろうし、着替えを持ってきてやったのだ。なんて気のきく甥っ子だろうと一人自慢げになってみる。

「いつもありがと。ちゃんと夜は戸締まりして寝るのよ。じゃあ大人しく安静にね、出流くん」


用事も済んだことだし、ここに居る必要もない。帰ろうとした瞬間、腕を掴まれた。

「なんだよ」
「俺、暇になっちゃった。由奈先生も行っちゃったし」

はぁ?




俺ってかなり問題児なんだよ。主治医のセンセも何度も変わったし。

いいのかなぁ?由奈センセ。

なんだよ、脅しかよ



出流はにっこり笑う。

こいつはなにかと理由を付けては俺に絡んでくる。由奈さんに言わせれば、病気がちで同年代の友達が少ないから嬉しいとか。
だが、誤解しないでほしい。出流とは仲良しさんではない。
友達というよりもパシリだ。
由奈さんを理由に脅しをかけてくる。
あまり家族も顔を出さないのか、雑用をやらされる。看護師さんにやってもらえよ。お前なら喜んでやってくれるだろう。
いくら顔が整っていても男だ。女の子なら大歓迎なのだが。
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