妖逆門
□メモC
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短い間だったけど、たくさんの冒険をした。
「三志郎」
「あ、ロンドン」
三志郎の肩を掴んで引き止めたのは、ギターを背負い、頭にバンダナをした少年。ロンドンこと三枝敏夫。
「あー、二人とも待ちなさいよ!」
二人の後を一人の少女が追い掛けて来る。
「なんだ亜紀、お前かよ」
「何よ、その嫌そうな顔は。言っておくけど抜け駆けは許さないわよ、ロンドン!」
三志郎を間に挟んで睨み合う二人。いつもの事なので、特に気にせず歩き出す。すると、二人も追い掛けて来た。
何かが、もの足りない。
“兄ぃちゃん”
(不壊…)
「…っ」
「三志郎?」
ロンドンがうつ向いたままの三志郎に声を掛ける。
三志郎は思わず顔を上げた。
「あっ、ごめ…っ」
「どこか、痛いのか?」
「えっ?」
「ほら、三志郎。拭きなさいよ」
亜紀がハンカチを差し出してくる。
流れ落ちる雫。
「全く、どうしちゃったのよアンタ」
「三志郎、具合が悪いのか?」
枯れ葉等が舞う。
その中で、紙切れのようなものがフワリと舞い降りる。
三志郎はソレに無意識に手を伸ばしていた。
「凄い風だったな」
「三志郎、何ソレ、お札?」
「さっきの風で飛んできたんだ」
三志郎の手に握られているのはお札のような紙切れ。
彼らは覚えていないが、かつては撃符と呼ばれていたもの。
「なんかソレ、見覚えあるな」
「アタシも見覚えあるかも…でも、なんだったけ?」
ロンドンと亜紀はソレを見て呟く。