遊戯王

□シャッフル!
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「うわっ、あっぶねぇ!」
「くっ、また俺の負けか」

遊星のライフポイントは0、十代は100。遊星は唇を噛み締め、拳を握り締めた。
(負けるとやはり悔しいもんなんだな)
そう思うと遊星は唇を噛み締めるのをやめ、強く握りしめていた拳を緩めた。そのまま顔を上げれば十代が笑っていた。

「まぁ、遊星にデュエル教えたの俺だしな!それにしてもまた腕上げたな!俺マジでヒヤヒヤしたぜっ!」

十代はへへっと笑っていたが、ふと何かに気付き、眉を寄せた。

「なぁ遊星。スターダスト・ドラゴンはどうしたんだ?」

痛いところを突かれた。






アトラス会長が施設から連れて来たという子供、不動遊星。メカニックに関する知識や腕に優れているのか、よく会社の手伝いをしていた。子供の癖にパソコンの画面に釘付けになったり、ドライバーを握り締め、カチャカチャとやっている。おかしなヤツ。両親もいなく、他に身寄りもない。汚らわしいヤツだとジャックは感じていた。
視界に入れないようにもしていたが、ふと彼のポケットにデッキが入っていたことに気付く。ジャックは次の瞬間遊星に声を掛けていた。

「お前、デッキ持ってるのか?」
「?」

遊星はバイクの組み立てに夢中になっていたせいか、すぐには反応しなかったものの、ジャック存在に気付き振り向いた。
ジャックは遊星のポケットを指差す。

「ああ、これか。俺が施設にいた頃、友だちに教えて貰って遊んでたんだ」
「じゃあデュエル出来るんだな、お前」
「少しは…」
「なら俺と勝負しろ」







かなり追い詰めたが、あと少しのところで負けてしまった。するとジャックは遊星の腕を掴み、デュエル・ディスクからデッキを抜き取った。

「なにを…っ」

ジャックは鼻で笑うと負けた遊星のデッキからカードを一枚抜き取った。遊星はハッと気付き、返せよと必死に手を伸ばすが、届かない。遊星はジャックを睨み付けた。

「くっ、返せ!」
「返して欲しければ俺を追うんだな」

初めてゾクゾクした相手。こんなにも高揚感を得たデュエルはなかった。
コイツにはもっと楽しませて貰いたい。

「もっと腕を磨いて、上へ上がってこい。それまでお前のお気に入りのスターダスト・ドラゴンは俺が預かっといてやる」
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