Let's&go
□ネタA
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「へぇ、烈帰ってくるんだ。大変になるな豪」
「そうだな…」
豪樹と烈矢は俺の後輩である。唯一兄貴の裏の顔を知る奴らで結構俺の味方をしてくれる。
「もう俺、お前らん家の子になる」
「豪、無理だってば」
「そうだ。兄さんから離れろ」
豪樹にすがりつく俺をさりげに引き離す烈矢。烈矢はいつも兄である豪樹にベッタリだ。そこまで兄貴のことを好きになれるお前がすげぇと思う。まぁ、烈兄貴と豪樹じゃ全然違げぇけどな。月とスッポン?違うよな。
「で、いつ帰ってくるんだ?」
「それは…「豪、やっぱりここにいたんだね」
大魔王様登場。
豪樹や烈矢も驚いた顔をしている。俺の背後には烈兄貴が立っていた。
そう今日だった。だから今日は豪樹達の家に泊めてもらおうと転がり込んだんだ。てか、仮にも人様の家だぞ!許可なしに勝手に上がり込むなよ。
「えっと、烈兄貴おかえり…早かったな」
「ただいま豪、てっきり母さん達と一緒に家で出迎えてくれると思ったんだけどなー」
その笑顔が痛いぜ、烈兄貴。ただそこにいるだけでも圧迫感を感じる。豪樹や烈矢もさっきから一言も発していない。
「今日は僕の合格祝いと卒業祝いを兼ねて家族皆で外食だってさ。だから帰るよ豪」
「でも俺は今日コイツらの家に…」
「豪、今日は素直に帰った方がいいんじゃないのか?」
突然豪樹にぼそりと言われた。俺は危うく大魔王様こと烈兄貴の機嫌を損ねるところだった。
決して烈兄貴の機嫌を損ねてはならない。それは俺たちの中で暗黙のルールと化していた。
烈兄貴は笑顔で俺に「帰るぞ」と訴えてくる。その笑顔がとてつもなく怖い。
「分かった…」
この時の俺は渋々頷くことしかできなかったが、今度は藤吉の家でかくまってもらおうと思う。アイツの家なら広いし大きいし見つからないしな。