心の欠片は砕かれた

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あの後、腐餓鬼達は飛影と蔵馬を恐れて道を空けた


『へぇ…。』


第一級犯罪者かとかS級妖怪かどうかは置いといて、この二人、相当名が売れているらしい


アジトへの僅かな道のりを歩く五人


「紬、一つ聞いても良いですか?」


不意に、隣を歩いていた蔵馬に話かけられる紬


『…いいよ』

「では、単刀直入に。あなたは、妖怪ですか?それとも人間?」

「あ、俺もそれは気になってた」

声を上げる幽助


飛影と桑原も此方に顔を向ける


「ほら、お前、急にぼたんが連れてけって言ったから、俺ら、結局お前の正体知らねーんだよ」



…まあ、いいか
それぐらいなら

『…どちらも正解。』

「は?」

呆気にとられた顔をした幽助と桑原
微かに眉を潜めた蔵馬と飛影

「それって、どういう…」

『半妖。』

一呼吸置いた紬が続ける

『…私は半妖。何の妖怪かは…ノーコメント、ってことでいいかしら』

「え?えええっ!!」


桑原と幽助が驚愕の悲鳴を上げる


「てっきり…人間かと……。」

『半分は人間だけどね。おかげで、少し妖気は薄いのよ』


「…成る程。ま、何の妖怪かは聞きませんよ、言いたくないようなので、ね。」

『…ありがと』


この人は優しい


蔵馬に対して、そんな印象を持った紬


「じゃあ、霊界に協力してるのはどうしてだ?」

『…霊界に恩がある。それだけよ』


淡々と、表情を崩さずに答えた紬を見て、桑原が思わず、無表情な奴…と呟いた


すると、それまで黙っていた飛影が口を開いた

「フン、貴様が半妖だろうと何だろうと俺には関係ない。それと…」

一旦口を閉ざし、前を指差す飛影

そして、冷静に告げた


「着いたぞ、ヤツらのアジトに」
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