心の欠片は砕かれた

□03
1ページ/5ページ



「蔵馬っ!!」

腹部から血を流す蔵馬

「岩の中を通じて尻尾が移動しやがった!」

桑原が驚く

「岩と一体になり、その中を自由に動けるオレにとって、この部屋全体がオレ自身なのだ。貴様に逃れる術はない!!」

玄武が得意気に言い放った

「蔵馬!大丈夫か!?」

「心配はいらない。かすり傷だ。不意をつかれて、多少驚いたがね」

蔵馬は強気に微笑んで答えたが、言葉に反して出血は止まらない

「強がりも何時まで言ってられるかな…。これからが本番だぜ」

くくく、と玄武が笑った刹那、玄武の体が岩の中へと沈んでいく

「完全に隠れやがった…。」

「これじゃ、どこから来るかわからねェ」

『厄介ね…。』

蔵馬が、玄武の気配を探すかのように辺りを見回す

刹那


「ばぁっ!」


蔵馬の後ろから、玄武が出てくる

「また後ろか!!」

蔵馬は避けようとするが、彼の正面から玄武の尻尾が出てくる。
蔵馬は、それを横に跳躍して避けた。
蔵馬が着地するのを見て、また地面に沈んでいく。

「また沈むぞ!」

「てめー汚ねェぞコラァ!」


「オラオラ!逃げてばかりでは勝てんぞ!!」

「確かに、貴方の言う通りだ」

またしても、蔵馬の死角から攻撃を繰り出す玄武。
紙一重でそれを避けた蔵馬は玄武に同意して、襟元から薔薇を一輪取り出す

「オレも、本気を出そう」

「ばっ、薔薇の花ァ!?」

『…何を考えているの。蔵馬…。』

幽助、桑原、紬が、あまりに予想外な事に驚く。反対に、飛影はその冷静さを崩していない。

「勿論、ただの薔薇じゃない」

そんな四人を横目に、蔵馬はしゅん、と薔薇を一振りした。
刹那、花弁が舞い散り、茎が鞭へと変わる

「薔薇棘鞭刃(ローズ・ウイップ)!!」

部屋中に、薔薇の香りが充満する

「あ…。部屋中薔薇の香りが…。」

「キザなヤローだ。奴もいけ好かん」

『…それって、桑原からすれば全員じゃない』

「同意するぜ、紬」

「おい!オメーら!そりゃどういうことだ!」

『問題は、何処から玄武が出てくるか、ね』

「おい!無視か!」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ