リクエスト小説

□煌月様からのリクエスト3
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『なんだかすごく懐かしいわねぇ・・・』

冬物のコートをしまおうとクローゼットに手をかけたアスカがふと呟く

『えへへ・・・ここにいれといたんだぁ』

クローゼットの中から一着のピンクのエプロンを取り出した
お猿のマークは御愛嬌である
クローゼット特有の湿った匂いがしたので、バサバサッと叩いてみた

『もう古くなっちゃったけど、私の体の一部になっている気がするわ』

・・・・・・・・・

(そういえば、最初にこのエプロンを使ったのは・・・確かシンジが居残りのハーモニスクテストで夜遅くまでネルフにいたときだわ)

・・・・・・・・・・・

夜8時過ぎ、リツコにこてんぱてんに、しぼられたシンジはかなり滅入っていた

『うぅ・・・疲れたなぁ、ん、何だろうなんだか僕の家のほうから、体ごと引き付けられそうないい匂いがする・・・』
(これは・・・カレーだ

シンジはとたんに階段を駆け上がった

(でも、どうしてアスカが頼んだのかなま、まさかミサトさんのかな・・・・・)

答えは玄関に入るなりすぐに判明した

『ただいま・・・』

『おかえり遅かったじゃない、馬鹿シンジ・・・って、シンジ

『・・・・・・』
(アスカがエプロン着てる・・・なんだかきれいだなぁ)

『どうしたのよ

『アスカ・・・綺麗だね・・・というより華があるよ・・・』

シンジ君が普段言わないような事を言ったので

『・・・・・・・・』
(うれしいよぉ、うれしいよぉ)

少しとまどってしまいましたが・・・

グゥ〜〜〜〜〜

お腹の掛け声でもどってきました

『ささっ、早くはいるのよ

『う、うん』

赤面しながらシンジ君をお風呂に押し込んで、急いで盛り付けを済ませたアスカ嬢、しばらくして・・・

『う〜〜〜ん、いい香りだ』

パクッ、モグモグ・・・ゆっくり口に含んでカレーを食べるシンジ君・・・

(おいしいって言ってくれるかなぁ・・・口に合わなかったらどうしよう)

などと考えながらずっとシンジ君を見続けていると・・・

『食べないの、アスカ

『・・・・・、どう、シンジおいしい、それとも・・・』

『美味しいよ、そして、僕のために作ってくれて・・・うれしいよ、アスカ』

指についてるいくつもの絆創膏を見て、今までの暗い気持ちがいっぺんに吹き飛んだシンジ君

『ホントにうれしいわ、シンジ、シンジ・・・』

・・・・・・・・・

(あれから、シンジの理想のカレーを作ったし、シンジと台所に入れるのは至福の時間ね)

アスカは丁寧に衣類用のカバーをかけると、元のクローゼットにそっとしまいました

(完)

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