wings of words

□それでもライバル宣言
1ページ/1ページ








「・・・嘉穂はどうした?一緒じゃないのか?」
 いつものように遊星が嘉穂を迎えに来たら、ハルアだけが先にスタジオから出てきた。
「・・・貴方と、話がしたいんです。」
 そう言ったハルアの表情は真剣だった。













それでもライバル宣言















 そんなハルアに、遊星も真剣な表情で向かい合う。
「嘉穂のことか?」
 遊星の問いにコクンとハルアは頷く。
「遊星さんは、嘉穂のことが好きなんですよね。」
「・・・随分とストレートだな。」
 遊星がコクンと頷いてそう言えば、回りくどいのは嫌いですからと言うハルア。その言葉に、ハルアはどこか自分と似てると、遊星は何となく思った。
「俺も、嘉穂が好きです。」
「・・・嘉穂が決めないかぎり、譲る気はない。」
「当たり前です。俺もその気ですから。」
 2人の間に異様な空気が流れる。普段の2人からは想像ができないほどの、異様な空気。







 そんな空気を変えたのは、2人が恋をしている本人、嘉穂だった。






「あれ?いないなぁと思ったら先に来てたんだ。」
「遊星さんと、話してみたくて・・・」
 そうなんだと笑みを浮かべ、嘉穂は遊星のもとへと駆け寄る。
「いつもごめんね、待った?」
「大丈夫だ、気にするな。」
 遊星の言葉と微かな笑みによかったとほっとする嘉穂。
「じゃあ、帰るか。」
「ぅん。またね、ハルア。」
 遊星に手を握られ、少し恥ずかしそうに顔を赤くしながらも嘉穂は笑顔でハルアに空いている手を振った。そして遊星と共にエントランスを出る。
 そんな嘉穂達、いや嘉穂の背中を、ハルアは切なげな目で見ていた。





(あんなこと言ったけど、嘉穂は・・・)











*


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ