wings of words

□おとどけもの
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 PVの撮影が終わり、嘉穂がハルアに告白されてから2週間。


 嘉穂は遊星の言葉によって今では何とか立ち直っていた。













おとどけもの















「嘉穂ー、お前に荷物だぜ。」
「へ?あたし?」
 仕事を終えて帰ってきたクロウが、夕飯を作っていた嘉穂に小包を渡す。小包はこじんまりとしていて軽い。
「ねぇ、それなぁーに?早く開けて見せてよ!」
「ぅ、うん・・・」
 誰かに小包を貰う覚えはないが、龍亞が興味津々の目を向けるので、嘉穂は小包を開けた。














「これ・・・手紙とDVD?」



 小包には1通の手紙とDVDが入っていた。DVDは何のタイトルも書かれておらず、何の映像かは全く分からない。
 分からないので、嘉穂はとりあえずテーブルにDVDを置いて手紙を開け、中の手紙を見た。










 PVが完成したんで、とりあえず送ります。


 CDも完成したら、初回盤送るからねー!


 あ、あと同封の写真は裏ジャケで口元まで使うから!



by ルティナと愉快な仲間たち












(・・・ちょ、ちょちょちょちょっと待ちなさいよおぉッ!!)
 その手紙を読んでバッとテーブルを見る。が、テーブルにDVDはなく、DVDは既に龍亞の手にあった。
 見てみようよと龍亞は遊星に渡し、遊星はパソコンにDVDを挿入する。
 遊星の周りには龍亞の他にも龍可、アキ、クロウにジャックと既に全員が集まっていた。



「ゅゆ遊星!それ見ちゃ駄目ッ!!」
 これはどんな羞恥プレイだと嘉穂は止めようとするが時既に遅し、PVは始まってしまっていた。



















(あぁあぁぁぁ〜〜〜〜ッ!!)
 穴があったら入りたい、いやなくても自分で掘って入りたい衝動にかられる嘉穂。
 自分でも初めてPVを見たが、ここまでエロくなってるなんて思っていなかったからだ。
(いやそれ以前にこーいうの人に見られるのが恥ずかしいんだけど!自分でもエロいPVになるなとは分かってたけどッ!!やっぱり改めて見ると恥ずかしいいぃいぃぃいッ!!!!!!)
 もはや恥ずかしすぎてダッシュで部屋に閉じこもる嘉穂。
 写真まで見られてこれ以上恥をさらさないように手紙もしっかり持って。





(ってか写真まであんなエロいとか言わないよねぇ〜〜〜ッ!!?)
 もしエロかったらメールで猛抗議だと思いつつ、嘉穂はベッドに座り写真を取り出す。
 その時、小さく折りたたまれた紙切れが一緒に出てきた。
(?何?)
 嘉穂はそれを拾い上げ、広げる。


















 嘉穂を愛したことを後悔していない。だから自分を責めないでくれ。


 我が儘かもしれないけど、これからも友達でいてほしい。


 ハルア










(ッ・・・ハルアっ。)
 伝えたいことだけをストレートに書き綴られた手紙に、嘉穂は泣きそうになった。
 メールなんかでは軽すぎて伝わらない、でも電話で話すにはまだ心の準備ができていない、でも伝えたい。だからこそ手紙でそう伝えてくれたんだと、嘉穂は直感的に思った。
(ぁたしのこと・・・許して、くれた・・・・・)
 そう思うと同時に、ついに嘉穂の目から涙が零れる。
(ありがと・・っ、ハルア。)
 手紙を持ったまま、嘉穂はベッドに身体を預けた。




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