色々

□可哀相な僕たち
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可哀相な人だな、と思った。

「まさおみくん」

抱きしめられているせいで顔は見えない。
だから、どんな表情で俺を呼んでいるのかはわからない。
抱擁は段々と強くなってくる。
俺は彼の背にそっと腕を回した。

「まさおみくん、…まさおみくん」

ぽんぽん、と背を優しく叩く。
この人の思いも、表情も、理由も、何もわからない俺にはこれしかできない。
ああ、可哀相だ。
どうにかしたいなんて思っている、俺自身も。

::
可哀相な子だと思った。

「まさおみくん…」

腕の中に閉じ込めた温もりは、いつもはされるがままだった。
それが今日は腕を回し、あやすように背を叩いてきた。
驚いた。
同時に、嬉しくもあった。
だけど、それだけだ。

『ははっ、君は本当に可哀相な奴だね』

そう笑っていた腐れ縁の医者に、頭の中でそうだなと頷く。
そうだ、可哀相だ。
この子も。
言うべき言葉が見つからない、俺も。

END

::::
なんか書きたくなった臨正。
好きも愛してるも言えない臨也が多分書きたかったはず。
ありがちネタだから被りが怖い、うーむ。

101025

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