捧物
□きっと世界一
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黒子は、可愛いと思う。
「どうかしましたか?」
「いや…別に」
「?そうですか」
俺の視線に気付いた黒子にぶっきらぼうに答えると、まだ納得はいっていないようだけれど聞き返すことはせずに手に持っているものを頬張る。
普段ならマジバで飯を食べて帰るが、今日はお互いそんな気分にはならず、コンビニで軽いものを調達して少し遠回りの道で帰っている。
大量にあった肉まんはもう残り少なくなっていて、もっと買っておけばよかったと少し後悔した。
「火神くんは食べるの早いですね」
「お前が遅いんだろ」
「そんなことないです」
むっとした様子で再びなんとかチョコまんを頬張る。それにまた可愛いと思ってしまって、俺も大分末期だと肉まんにかじりつく。
「つか、よくそんな甘いもん食えるよな」
「大して甘くないですよ。食べてみます?」
「いらねー…ってついてんぞ、チョコ」
指摘すると慌てた様子で拭おうとする黒子だが、それより早く俺が指で拭ってやった。
指についたチョコレートを舐め、口に広がる甘さに顔をしかめる。
「やっぱ甘いじゃ…」
ねーか、と続けることはできなかった。
隣にいる黒子が耳まで真っ赤になっていたからだ。
特に意識した行動じゃなかったけれど、よくよく考えたら恥ずかしくなってきた。
顔に熱が集まってくるのがわかる。
「…顔赤いですよ」
「…お前だって赤いだろ」
「火神くんのせいです」
「そうかよ」
「いきなりやるから…」
じゃあ断ってからやればよかったのか、と思っていたら声に出してたらしく、戸惑ったような表情をされた。
「あ、いや今のは」
「…どうぞ」
「は?」
「それなら、いいです、から」
段々声が小さくなっていき、最後のほうは本当にかすかな声だったけれど、確かに聞こえた。
顔の熱が更に上がっていくのを感じる。
「…目、閉じろ」
「…、…はい」
恐る恐る目を閉じる黒子の頬にそっと触れる。
ぴく、と反応しても目は開けずに、頬の赤みが上がるだけだった。
そんな黒子を見て、やっぱり俺は思った。
黒子はかわいい、と。
END
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キリ番1000を踏んでくださったゆあ様に捧げます!
火黒の甘々、ということでしたが…こんな感じでしょうか?
味覚的にも甘くしてみたんですが…←
リクエストありがとうございました!
よろしかったらお持ち帰りください。
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