黒子02

□眠気覚ましの特効薬
1ページ/1ページ

「黄瀬くん、起きてください」
「…起きないっス」
「起きてるじゃないですか」

ほら、と呆れた声になった黒子っちに身体を揺すられる。
あまり強くない力に調子に乗って、傍にある身体に抱き着いた。
目は閉じたまま、大きく息を吸い込む。
あー、黒子っちの匂いがする。
もっとその香りを堪能したくて、抱きしめる力を強くする。
ちょっと変態みたいだ。
黒子っち限定だから大目に見てほしい。

「馬鹿なことしないで起きてください」
「寝てるから聞こえないっス」
「…黄瀬くん」

咎めるような声になったけれど、あえて無視する。
こんな風にのんびりできるのは久々だから、しばらくはこうしていたい。
しかも黒子っちと二人きりだ。
ワガママも言いたくなる。
ぎゅーっと音がするくらい強く抱きしめて、黒子っち分を充電する。
匂いとか体温とか、全部に安心させられる。
なんだか本当に眠くなってきた。
目も閉じていることだし、このまま寝てしまってもいいかもしれない。
黒子っちを抱きしめながら寝れるなんて幸せすぎる。
本格的に意識が眠りの世界に傾いてきた。
ゆさゆさ、ゆさゆさ。
規則的な揺れが眠気を助長する。
俺を起こそうとする黒子っちの努力は、逆に俺を眠らせようとする。
起きるようにと黒子っちの声がするけれど、子守唄のようにしか聞こえない。
黒子っちはマイナスイオンを放出してるんだ、多分。
ダメだ、完璧に頭が働いていない。

「黒子っちがチューしてくれたら、起きる…ス」

働かない頭で、一言。
ピタリ、と揺れが止まった。
あー、何言ってんだろ。
眠気って恐ろしい。
思わず願望…願望?が出てしまった。
黒子っち困ってるだろうな。
声も聞こえなくなっちゃったし。
失敗したような、寝るにはよかったような…。
なんとも微妙な気分で、眠気に白旗を立てる、その寸前。
ふに、と。
頬に柔らかいものが触れた。

「……えぇぇぇえ!?」
「おはようございます」

慌てて起き上がると、目の前の黒子っちはいつも通り平然としていた。
あ、あれ?夢?
いや、そんなはずない。
頬の感触は確かなもので、今だって残っている。

「黒子っち…今!」
「いいからさっさと着替えてください。出掛けようって誘ったのは誰ですか」
「わかってるっス!でも今黒子っち…っ」
「うるさいです」

言葉と共に服が投げつけられる。
そして。

「大体、ボクがキスをして何が悪いんですか」

頬を染めた黒子っちは、小さく笑った。
さっきまでの眠気は何処に行ってしまったのか。
黒子っちを抱きしめてキスをした俺は、これ以上ないくらい元気だったと思う。

END

::::
黄黒の日おめでとう!
リア充爆発しろって気持ちで書きました。一生爆発してろ!
シチュ的にはあれ、お泊りの後な感じで。

110711

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ