黒子
□一緒にいようか
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*勝手に未来設定。大学生くらい。
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「俺たちって付き合い始めて結構経つよな」
電話越しの真ちゃんに軽くそう言って、片手では雑誌のページを捲る。
少しの間の後、溜息と共に吐き出された疑問の言葉には、なんとなーくと返した。
だって、特に深い意味はない。
ただ高校から今まで、長い間付き合っているから色々マンネリ化してるよなーと思っただけだ。
別にそれが不満ってわけでも、だから飽きたなんてことでもない。
つーかそんなことはありえない。
本当になんとなく思っただけなのだ。
「そういうことだから、別に気にすんなよ」
返事はない。
何やら真剣に考えているのだろうか。
そんなことしなくてもいいのに。
もしかしたら、真ちゃんも同じようなこと思っていたのだろうか。
んー、飽きたとか言われたらどうしよう。
ちょっと不安になった。
「おーい、真ちゃーん?」
「……お前は」
「お?」
「お前は、どうしたいのだよ」
どうしたい、とはどういうことだろう。
さっきも言ったように、俺は今の状態が嫌ではない。
むしろこのまま、ずっとこうしてコイツといれたらいいとまで思っている。
一緒にいたい。
それだけではダメだろうか。
お互いにもう成人して、一人の大人だから。
子供のように夢想してはいけないだろうか。
いくらでも選べるだろうコイツを縛ってはいけないのだろうか。
なんとなくで言った言葉が重くなってのしかかる。
「あ、と…」
「高尾、俺は」
少し低い声。
真剣な声音に肩が跳ねた。
「俺は、お前とこうして付き合って…いつかは一緒に暮らしたいと、思っている」
「…え?」
今、何と言った?
緊張で気絶でもして夢を見ているのか。
だって、だって。
「お前は、どうしたいのだよ」
「俺、は…」
俺、だって。
「そうしたい…デス」
「ならいいだろう」
「おう…」
寝る、と素っ気ない言葉で電話が切られる。
俺も携帯から手を離して、勢いのままベッドに倒れ込んだ。
なんてこった。
「ゆ、夢じゃねえ…」
あの緑間が、あんなことを言うなんて思ってもみなかった。
だって、あの緑間だ。
電話だったから言えた、ってのもあるかもしれないけど、それにしたってありえない。
いつもだったら絶対に言わない。
そもそもいつもだったら俺の独り言なんて一蹴して終わりのはず。
食いついた段階で、いつもの緑間ではなかったんだ。
やばいやばい、どうしよう。
顔に熱が集まっているのがハッキリとわかる。
心臓だって死ぬんじゃないかってくらい動いてる。
「嬉しい…」
呟いて、そっと目を閉じる。
同じように顔を赤くした真ちゃんが見えたような気がした。
END
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友達に押し付けた緑高でプロポーズをちょいリメイク。
高尾は余裕のないときは緑間呼びだと萌える←
一応続きがあったりする。
101106