黒子

□5/6 a.m.03:26
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重い。
胸の辺りに何かが乗っているような…いや、確実に何かが乗っている重苦しい感覚。
無視してこのまま眠っていてもいいのだが、どうも気になってしまってそろそろと目を開けた。

「―――っ?!」

ここで叫ばなかった俺は褒められてもいいと思う。
驚きすぎて声が出なかったとも言えるかも知れないが、とにかくここで叫ばなかった俺はよくやった、偉いぞ。
そっと息を吐いて目の前にある顔を確認し、予想通りの顔に気分が少し落ち込んだ。
まあ、コイツ以外だったら落ち込むどころの騒ぎではないのだけれど、それでも朝からあと少しで唇が触れそうな距離で男の顔を見るというのは高校生男子としてはいかがなものだろう。

「つーか…何で青峰がここにいんだよ」

家にいることが問題ではない、それは不本意ながら同意してのことだ。
問題はどうしてコイツが俺のベッドに、こんな至近距離で眠っているかということだ。
昨日はそういうつもりで家に来た青峰を朝練があるからと必死で止めて別々に眠ったはずだ。
それなのに今青峰はここにいる。
まさか…、と慌てて寝巻きや身体に異常がないか探るが、特に乱れても違和感もなくて安心した。
いくら自己中我が儘大王色黒万年発情期でも寝ている相手にがっついたりしないらしい。
それに何かされたらいくらなんでも目が覚めるだろう。
疑って、あと少し酷いこと思って悪いと心の中で謝罪する。

「まだ3時かよ…」

枕元にある携帯で時間を確認してみれば、いくら朝練があるといっても早過ぎる時間。
けど寝直すような気分にもなれない、というかこんな状態で寝れる訳ない。
未だ俺の上に乗っている青峰を起こさないようできるだけ優しく退かしてベッドから出る。
歯磨いて顔洗って…風呂でも入るか、あと。
ちらりと眠っている青峰を伺う。
枕に顔を埋めて眠る青峰はいつもと違って幼い子のようで、少し可愛いように思える。
いや、思えるだけで実際は全く可愛くねーけど!
なんとなく気恥ずかしくなって、着ていたジャージのファスナーを限界まで上げて顔を隠す。
とりあえず、風呂から出たら二人分の朝食と弁当を作ろう。
いつもより少しだけ、気合いを入れて。

END

::::
勝手に青若祭そのいち。
若松のターンでちょっとデレ。
中学時代のジャージが寝巻きな若松かわいくね、という心から生まれました←

100506

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