おはなし
□first kiss.
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その日は
何も用が無かったので
彼女の家に遊びに行くことになった
家の中は静まり返っていた
「ご両親は?」
「出かけてるよ」
そう言いながら
彼女は手早く小さいお盆に
二人ぶんのコップと飲み物を乗せて
それを持つと
わたしを自分の部屋まで案内してくれた
ああ、そりゃ
静かなわけだわ
わたしは黙って頷き、彼女の後を追って階段を上がる
「ちょっと待って」
部屋に入ろうとすると
ドアの前で制される
素直にその場で立ち止まり待っていると
どうやら彼女は中でガチャガチャと何か片付けているようで
しばらくすると
「どうぞ」
と声がかけられた