リクエストBOX
□鼠色のアスファルト
1ページ/3ページ
゛今回の試合もヒムラ選手の優勝でしたねぇ〜!"
ニュースで今日も流れる緋村の優勝…
一度も負けた事のない無敗の男…。緋色の髪、レッド・カラーの車体、そして優しげな幼い顔立ち…世間は彼の存在を大きく取り上げ、騒いでいた――
〜世界大会〜
エンジンの調整、タイヤ交換を終え、コックピットに乗り込む――
新しいシートの感触を肌で感じ、一呼吸する――
なんとなく、ゲートの方を向くと、ピンクと白の組み合わせのワンピースを着た黒髪の女性…
年は自分よりも明らかに若く、でもその若さの中に妖艶なる美しさを持っていた。
(なんだろう……気になる……)
俺にとって、こんな事は初めてだった。今までファンレターや、ラブレターはそれなりには貰ってきたが一度も興味が湧いてこなかった。なのに彼女だけは違う…
この気持ちは何なのだろうか……?
ボーッと考えていると、彼女は俺に気付いたようで、早歩きで近付いてきた――
「こっこんにちは…////」
大きな黒い瞳…、色の白い肌…。
「こんにちは、君に逢うのは初めてだよね?」
「はっはい。明日からレース・クウィーンをやらせていただく神谷 薫です。よっよろしくお願いします!////」
一生懸命、顔を紅くしながら話す彼女がなんだかとても心の中に残る――
その後、点検とテスト運転も終わり、日本代表用ロッカールームへ向かう…
頭の中に残るのは、彼女の顔。
『よろしくお願いします!』
彼女の言葉が言霊となって頭の中に鳴り響く…
ガチャッ
「よぅ剣心!どうだ?テスト運転は?」
「左之…まだいたのか?お前が整備したんだ。自信が無い分けじゃないだろ?」
チームスタッフの左之とは、随分長い付き合いになる、年は9も離れてはいるが、俺にとっては、親友と言えるただ一人の男だった――
「今日はいやにボーッとしてんじゃねぇか。何かまた社長に言われたのか?」
「俺が師匠(社長)に負けるわけないだろ?(ニコッ)」
「ちっちげえねぇ…。っで、じゃぁどうしたんだ?」
NEXT