リクエストBOX
□雫
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「すまない…これも………のため」
ザシュッ
刀に付いた血と人の脂…。生臭い匂いが一面に広がり、自分の服は紅いものが所々滲んでいる
また…人を斬ったのか?流浪人の俺が……?
紅く染まった手がそれを物語る――
「抜刀斎…!また人を…許せん!……の敵!」
ちっ違う!俺は人斬りじゃない。
「剣心…」
薫……?
「なんで…なんで斬ったの…?私を……」
紺色の着物に滲む血…斜めに付いた切り傷……。
ハッ
ハァッ…ハァッ…
「夢……?俺が……薫を……?」
「剣心?」
起き上がった俺を不思議を思ったのだろう。首を傾げながらこちらを見る――その体には切り傷はなく、先ほどの事が夢だと告げている。
ぽたっ
布団に落ちた水、自分の顔に手を当てると、目から涙が流れている。
「おろ…?」
薫は立上がり、背後から剣心を抱きしめた。頭を撫でながら……
「大丈夫…大丈夫だから…ね?また人斬りの夢を見たのでしょう?でも貴方はもう流浪人・緋村剣心なのだから。だから…泣かないで」
俺の涙は止まる事なく流れ出ていた――
薫は剣心が落ち着いたのを見て、横に座り、膝をポンッと叩いた。剣心はそこに頭をふわりと乗せ、薫は剣心に布団をかけた。
頭を撫でる薫の手が剣心を心地よい眠りに誘う…。
「剣心が涙を流したい時は私の胸を貸してあげる…だから…我慢しないで…?」
もちろん眠りへとついた剣心には聞こえない言葉……
また見るであろう過去の自分。それでも……もう一人じゃない――
膝で眠る剣心の涙は、いつの間にか喜びの涙へと変わっていた……
END