リクエストBOX

□甘えて?
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「蒼紫様、入っていい?」




「あぁ」





部屋に入ると、壁に寄り掛かりだるそうにしている蒼紫の姿が目に入った。走ってかけより額に自分の額を当てる。




「操……顔が近い」





「やだ!蒼紫様熱があるじゃない!!」





蒼紫の言葉はまったく耳に入っていないようだ。とにかく布団を引いて…と動き出す操の姿を蒼紫は黙ってじっと見ている事しか出来なかった。



「ちゃんと寝ててね!!桶と手拭い持ってくるから」





そういって部屋を出た操に言われるがまま、布団へと体を滑りこませた。眠気がくるのにはそう時間は掛からず、操が部屋に戻って来た時にはすでに寝息をたてていた。




「(珍しい…普段人の気配に敏感なのに)」





水置けに手拭いを浸し、絞ってから蒼紫の頭にそれをのせた。
操は誰よりも蒼紫を想っている…それは葵屋のみんなも知っている事で障子の隙間から懸命に看病する操の姿を葵屋一同微笑ましく見ていた。







「ん………」




蒼紫が目を覚ましたのは、もう日が沈む頃だった。隣りには正座をしながら寝ている操の姿。
きっとずっと見ていてくれたのだろう…その横にいつもの湯飲みに茶が入っているのが目についた。





だるい体を少し起き上がらせ、湯飲みを取ろうとしたが、上手くゆかず、手を滑らし操の膝に頭を乗せる形になってしまった。


乗せられている当本人はまだ夢の中……。





「………いいか」




そのまま目をつぶり、また眠りへと入っていった……。







「ん…なんか足重…Σ!!」




一瞬大声を出しそうになった。膝に乗っていたのは自分の愛しい人そのものだったからだ。寝息をたてて眠る姿を見ると、なんだか蒼紫も人の子だと笑ってしまった。


なにより……自分に甘えてくれた事に嬉しさを隠しきれなかった。


布団をかけてあげながら、眠る蒼紫にふとしゃべりかけた。



「蒼紫様……?私にだけは…甘えてね」





聞こえてたのか聞こえていないのか……そな時蒼紫の顔は、少し笑っていた…。





END
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