消化したお題達

□角砂糖よりも甘く
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「ふぁ…」

ココアの所為か、昨日の余韻か。
甘ったるい口付けにフェイトの顔が蕩ける様に上気した。

「アルベル…」

ねだる様に震える腕を伸ばし、アルベルの背中にしがみつく。
アルベルは、義手を外し放り出すと、包帯で巻かれたほとんど動かない左腕でフェイトの体を抱きかかえた。

吐息が熱い。
手が熱い。
体が熱い。

フェイトは目を閉じ、強張る体から力を抜いた。

コンコン

それはなんというタイミングの悪さか。
急に現実に引き戻され、フェイトとアルベルは互いに苦笑して見せた。

そして、体を離すとアルベルは椅子へ、フェイトは首まで布団をかぶった。

「失礼します」

一呼吸置き、メイドが入ってくる。
そして、フェイトの服を籠の中へ丁寧に入れると、冷めてしまったココアをもって部屋を後にした。


その淡々とした一連の動作に、アルベルは溜め息をつき、フェイトへと腕を伸ばした。

「そろそろ起きろ。阿呆」
「判ってるよ」

腕につかまり床に足を付け立てることを確認して、フェイトは着替えに入った。


時刻は朝も半分ほど過ぎたころ。
温かい日差しに雪がほんの少し溶けていた。



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