BOOK3
□猫のしっぽ
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満月の下、ユラユラ揺れる長い尻尾。
綱吉はそれを見上げながら手に持った団子をひと口頬張った。
「んにゃん」
猫が塀の上から見下ろし一鳴きする。
刹那、曲線が宙を舞い、目の前に下り立つ。
そして、綱吉の隣の存在へシャナリシャナリと歩み寄った。
「なぁーう」
「…おいで」
ひょいと、抱えあげられ、膝の上に乗せられた猫は満足げに丸くなる。
「よくなついてますね」
綱吉はくすくすと笑う。
その顔を雲雀は穏やかな顔で見下ろしている。
ゆらり、ゆらりと白い尻尾が揺れ、綱吉の手に触れる。
探る様に、確かめるように、ゆらゆらと猫は尻尾を振っていた。
「落ち着かないのかな」
「やっぱりオレがいるから…かな」
「…別に、関係ないよ」
雲雀は切れ長の目をすぅ、と細め、猫の頭を二度、三度撫でる。