消化したお題達

□角砂糖よりも甘く
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とある晴れた日。
それはこの国にしては珍しく吹雪いていない、晴天の日。


「うぅん…」
「……起きたか」
「ん…おはよう…アルベル…」

アーリグリフ城の割り当てられた一室で、フェイトは軋む体をやっと起こした。
それでも立ち上がることは難しいらしく細い腕で周囲を探っていた。

「アルベル。僕の服は?」

手の届く範囲にないことに気づき、フェイトは椅子に腰かけホットココアを口にするアルベルへと問いかけた。
そして不意に気づく。

「…」

一つ。どうしてアルベルがホットココアなどを飲んでいるのか。
一つ。昨日脱いだはずの場所に服がない。
一つ。やけに小奇麗な服が籠の中に置いてある。

フェイトは考えた。
それでも結果には至らなかった。否。至ってはいけないような気がした。

「アルベル」
「なんだ」
「僕の服…」
「洗濯中だそうだ。とりあえず、その籠の中にあるそれでも着ていたらどうだ」

そこにはこの星に落ちてからはよく見かけるようになった『やけに露出の高い服』が入っていた。
フェイトは布団に突っ伏した。

「もっと他にあっただろ…なのにこれって…っていうか僕が寝てる間に誰か入ってきたとか…」
「諦めろ。文句があるならこの城のメイドに言え」

くつくつと笑い、アルベルは器用に義手の腕で俯き突っ伏したフェイトの髪に触れた。
ピクリと、首筋へと触れた金属の感触にフェイトの体が震えた。

「なんでアルベルの服は洗濯されてないんだよ」
「俺か?俺のはいくらでもストックがあるからな」
「あ…そう言えば…ここは元々アルベルが使ってた部屋、だったよな」
「そういうことだ」
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