消化したお題達

□蜂蜜のようなキス
1ページ/3ページ

真っ白なシーツの上でゆっくりと意識が覚醒していく。

(体痛い…)

フェイトはふっと息をつき、何度か瞬きをした。
後ろから抱き締められるように回された腕に触れると、背後の存在がもぞりと動いて寝ぼけた様に髪に顔を埋める。
それがくすぐったくて、フェイトは小さく身を捩った。

「……あ…?」

急に動いたせいか、寝起きの悪そうな声を出しアルベルが腕を緩める。
フェイトは、ゆっくりと体を反対向けるとアルベルの顔を見た。

「おはよう…」
「ああ…………声が嗄れてるな」
「誰の所為だよ…まったく…」

言って脹れっ面をするが、しっかりと腕を回されてしまったためか顔をそむける事が出来ず、視線だけを泳がせ目を合わせないようにする。
それに気付いたのか、アルベルは意地悪く笑うと覆いかぶさるように体を起こした。

「俺の所為か?」
「他に誰がっ…」

まだランプが薄らと点いている。
そのゆらゆらと揺れる光の中で赤い瞳が楽しそうに細められていた。
フェイトはもう一度ふっと息を吐いた。そして、アルベルの顔を見上げるとそろりと輪郭をなぞった。

「アルベルは…暗い所にいると見えなくなりそうだね」
「そんなわけあるか。阿呆」
「言葉のアヤだよ」

微笑みながら左手で頬を撫でる。
そして右手で解けかけた包帯にそっと触れた。

「巻きなおさないとな」
「……後で良い」
「ん…うん…」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ