消化したお題達

□時間も忘れて
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ふぅと吐息をもらし、やっとの思いで重たい体を浴槽からもち上げた。
脱衣室の方でアルベルが「大丈夫か?」と、ちっとも心配している様子など見せずに言った。
意地悪そうに笑いながら、よろめく僕の体を支える。
こうなったのは誰のせいかと問い詰めても、きっと彼は鼻で笑うに違いない。

僕はもう一度、今度は大げさに溜め息をつき、アルベルを睨みつけた。

でも、やっぱり。
悪びれる風でもなくフンと鼻で笑われてしまった。

「お前なぁ!」

喉まで出かかった言葉をなんとか飲み下し、ふらふらとバスタオルに手を伸ばそうとしたが、寸前のところで奪われてしまった。

「アルベル!」
「あ?」
「タオル。返せよ」

少し不機嫌そうに言ってみる。
それでもアルベルは何処か愉快そうに僕を見ていた。

「っ…アルベルッ」

手を伸ばすと、まるで遊んでいるかのようにひらりとかわされる。
ただ、少し勢いがつき過ぎていたらしく、前のめりに足を取られた。

「あっ」
「…っと」
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