消化したお題達
□寝てしまった君に
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「みーかーどくんっ!」
ぼんやりと歩いていた街中で、静か…とも言えなかったけれど、平穏だった僕の一日はいとも簡単に砕かれていった。
「うわぁ!?なななな、なんなんですか!臨也さん!」
「ひどいなぁ、『偶然』歩いてたら、『偶然』君を見つけたから走ってきたんだよ!」
「……うわぁ…」
どんだけ『偶然』を強調するんだよ…なんて思いながらなんとか聞き流そうと試みる。
ついでにそのままやり過ごせればいいのに、なんて。
あり得ないことを願いつつ…
「じゃあ、いこっか」
「は………?」
「もー。耳の遠いふりしたってダメだよ、帝人くん」
楽しそうに。
それはもう、本当に楽しそうに。臨也さんは笑っていた。
「で…どうしてなんでしょう?」
「え?なにが? あ、ココアでいい?」
「……はい…」
臨也さんはやたらハイテンションでテキパキとココアを作っていく。
そして、いつものカップに注いで僕に手渡してきた。
ここで受け取らないと受け取るまで絡まれるのだから面倒くさいことこの上ない。
「ありがとうございます」
ほぼ棒読みで答えた僕の声もどう聞こえているのか。
臨也さんは嬉しくて仕方がないといった様子でニコニコと笑顔を浮かべていた。
「帝人君」
「はい?」
「君は本当に可愛いね」
「………」
話が通じない!……って、それはいつもの事だけど…