消化したお題達
□ずっと抱きしめたまま
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「ちょっと失礼します!」
「あ、ああ?」
これはいったいどういう状況なんだろうか。少し頭を整理しようと考えを巡らせる。
・竜ヶ峰が唐突に来た。
・唐突に「失礼します」の一言で膝の上。
・これは新手の拷問なのか?
いや、色々と考えてみるが整理なんて出来るほど状況を飲みこめていない。
とりあえず、今どういう状況なのかと聞かれたら、唐突に入ってきた恋人に膝の上を占領された。
としか言いようがない。
正確には胡坐をかいた足の中に竜ヶ峰が収まっている。という。
「………静雄さん」
「……何だ?」
「えっと…ごめんなさい」
わけがわからない。
これがもし竜ヶ峰でなかったら(その場合部屋に入ってきた時点で摘まみ出しているだろうが)今頃表の電柱とでも仲良くなっていただろうと思い溜め息をつく。
竜ヶ峰の方も少し困ったように口籠っている。
そっと、怖がらせないように、潰してしまわないように抱き抱え自分の方を向かせる。
足の間で膝立ちになり、恥ずかしそうに顔を染める竜ヶ峰を見上げる。
「あの、恥ずかしい…ですからっ…余り見ないで下さいっ…」
泣き出しそうなくらいに顔を真っ赤にして震えている。
怖がらせたのかと思い頬に触れると躊躇いがちに首に腕が回された。
ギュッと閉じられた瞼、うっすらと濡れた睫、首に回された腕と、求める唇。
これが据え膳、というものなのだろうか。
だとしたら食った方がいいのか?
頭の中がぐるぐる回って判断ができない。
「竜ヶ峰…」
名前を呼ぶとビクリと体を震わせた。
その様が余りにも可愛く見えて、頭の奥がグラグラする感覚に襲われた。