消化したお題達

□カーテンを閉める
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ただでさえ薄い部屋の壁だというのに、どうしてこの人はいつもいつも。


「ちょっ…臨也さん、本気で…っ」
「なに?」
「カーテン閉めてくださいっ…」
「どうして?外から見えるわけじゃないし大丈夫だよ」
「そういう問題じゃ…」

まだ夜も更けてないのに、何故か急に押し倒された。
もう少し早いうちなら抵抗しようと思えばできたはず。
それをしなかったのは、結局僕もこの人が好きだということで。
悔しいけれど、それは認めるしかない。

「んー…帝人君はお月さまに見られるのも恥ずかしいのかな?」
「だからそんなんじゃ…っ」

ない、と、言おうとして、唇は塞がれた。
くちゅっと、濡れた音が部屋に響く。
裸の肌が、擦れ合いくすぐったい。

腰に触れる臨也さんの掌は、いつもとは違って凄く熱っぽかった。

「ふ…ン……」

鼻から抜けるような声がこぼれる。
それが恥ずかしくて、うっすらと涙が浮かんだ。
臨也さんは、唇を離すとふっと微笑んで見せた。
そして、僕の涙を舐め取ると、そのまま耳の後ろや耳たぶにキスをした。
軽く触れる優しいキスに、気持ちが蕩けていくみたいだった。

「…お月さまって、凄いね…」
「…?」
「電気も消してるのに。テレビも付いてないのに。君の顔がよく見える」

言ってふっと、目を細めた。
その瞬間、恥ずかしさが増していく。

「もうっ、あんまり見ないで下さいっ」
「やだよ。愛しい君の表情を一つだって見逃したくないし」
「愛しいとか…マジでもうウザいっ…」
「でも、俺が君に興味ない。って言うより良いでしょ?」

すっと、目を細め、意地悪そうに言う。
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