消化したお題達

□押し倒して瞼にキスする
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「アルベル…」

熱っぽい声だった。アルベルと呼ばれた青年は、溜め息をつきながら自分の上に乗っかる青い髪の青年を撫でていた。

「阿呆が」
「…」
「酒臭ェ」

とりあえず、退け。と。
右腕だけで目の前の青年を押し返す。

「いやだ…」
「…―。フェイト」

アルベルは囁くように名前を呼んだ。
瞬間に、フェイトの体がピクリと震える。普段なかなか名前を呼ばない彼に名前を呼ばれる事。その事の衝撃の強さを、アルベル自身知っているようだった。

「アルベル…」

ほんのりと上気した顔。潤んだ瞳。濡れた唇。甘い吐息。

どれをとっても拒むところがない。
が、今の現状、それを美味しくいただく事は無理に近かった。

「ちょっとあんたたち」

頭上から涼しげに降ってくる女性の声。

「なんだ」
「ネルさん…?」

ネル、と呼ばれた女性は、2人に(主にアルベルに向けられた物だが)冷ややかな視線を浴びせていた。

「こんなところで何を始める気だい」
「知るか」
「アルベル!」
「フン」

顔を反らし、ネルの方から顔を背ける。
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