西浦
□楽しんだもん勝ち!
1ページ/2ページ
天気は快晴!!
気分も上々!!
今日は絶好の--
「遊園地日和だよなぁぁぁ」
「ハハどんな日和だよ〜」
「おーい田島ぁ水谷なんかにツッコまれてんぞ」
「泉ひどい!何、俺なんかにって!」
「まぁまぁ。にしても元気だね〜田島と三橋は。
これじゃ中に入ってすぐに迷子なるんじゃない?ってことで田島は任したからねキャプテン!三橋は俺に任していーから」
「ちょ!何で俺が一番手がかかる田島なんだよ!!」
「そりゃキャプテンだからじゃね?つーか栄口さりげに三橋と回る気満々じゃねーか。言っとくけど遊園地誘ったのは俺と田島だから。三橋は俺らと回るし栄口達は勝手に楽しんでてどーぞ?」
「正確に言えば浜田さんからのチケットでしょ?
俺たち聞いてんだよね〜浜田さんから。チケット奪われ、自分がバイト入ったからって俺たちにもチケットくれた訳だから俺たちが三橋と回ってもいいってことだよね」
言ってることとは反対にお互いの表情は笑顔。
三橋のこととなると優しい栄口と男前な泉の敵意むき出しな姿には西浦の常識組である巣山と西広はお互いの顔をみてため息。花井と沖にいたっては顔色を悪くし、ただ自分に彼らの八つ当たりを浴びらないよう願うのみであった。
そんな二人の険悪モードにもへっちゃら…むしろ感じてすらない彼らもまた三橋とまわりたいもの。
「おい田島!三橋連れて先行くんじゃねー!三橋もそんなはしゃぐな!転んだりしたらどーすんだ!!!」
普段ならこの怒声を聞けばどんな距離にいても三橋は聞きのがすはずもなく、萎縮してしまうのに、今日は皆と遊園地ということでやっぱり三橋自身もはしゃいでいるのか聞く耳もたず。
田島と入場ゲートまでそのままはしゃぎながら駆けていった。
「泉も栄口も〜勿論俺も三橋と回りたいからね!三橋とねメリーゴーランド乗る約束してんだ〜」
「「阿部と乗れば?」」
「…へ?」
「はぁぁぁなんで、俺がクソレと」
「クソレって言うな!俺だってやだよ!しかも阿部とだなんて!!!ってかなんで阿部」
「お前ら仲良くねーじゃん。水谷もいやだろ?いつまでもクソレ扱い」
「同じクラスなんだしここで親睦深めてきたら?あっ花井も一緒に」
「「「それだけはぜってー嫌だ!!!」」」
その頃入場ゲートについた田島と三橋は後ろの方で騒がしくいつまで待っても中々来ない皆にしびれを切らしていた。
早くはしゃぎたい二人は目の前の光景に我慢出来ずにそわそわ。
中に入って早く遊びたいのにチケットは花井が無くしそうだという理由で田島と三橋の分を持っていて、その花井はというと、阿部達と後ろの方で騒いでる。
「あーもうゲンミツに遅ぇ!!何やってんだよ!もー早く遊びてぇ」
「う、うん!でも皆楽しそう。
なに 話してるんだろう、ね?」
「何話してるかは俺なんとなく分かる。でもさ〜あーもー我慢出来ねぇ、ちょっと三橋ここで待ってて!三橋の分もチケット取ってくるから」
そう言って田島は後ろの方で騒いでる花井達の方にダッシュしていった。
残った三橋はというと一人でここで待つのも寂しく付いていこうとするが、入場ゲートにある園内マップに目がとまった。
広い遊園地の中には高さ何メートルもあるジェットコースターや、
水に濡れるアクアコースター、
恐いけどお化け屋敷や最も高いと有名な観覧車、メインキャラ達のイベントやら子供から大人まで全員が1日楽しめる様々なアトラクションに楽しみで楽しみで。
「ふひ//ぜ ぜんぶ 皆と回りたい、な」
「三橋は苦手なものとかないの?」
独り言に返事が返ってきてびくっとして後ろを振り返えると西広が立っていた。
「あ、れ 皆は?
おれ お化け屋敷は 苦手・・で でも皆が一緒なら おれ だ 大丈夫だ!」
「皆はまだ後ろで騒いでるよ。もう田島まで騒ぎに入っちゃって俺だけ先に来ちゃった。巣山と沖には悪いことしちゃったかな。」
「まだ当分来ないから先に中入っておこうよ。三橋も早く中で遊びたいでしょ?」
「うぉ!でも…い いのかな?」
「大丈夫。中入ったこと分かれば絶対死にものぐるいで俺たち探してくると思うし。」
「?」
「んーん。こっちの話。
三橋のチケット俺持ってるし、早く俺も遊びたいし行こ?」
「うん!」
そして笑顔で中に入っていく二人。
一方で未だ誰が三橋と回るかで騒いでた者達もやっと入場ゲートまでやってきてそこに三橋がいないことに気づいた。
「っあーもう田島まで入ってきて余計ややこしくなったじゃねーか!」
「絶対三橋待ちくたびれてるよね。」
「ってか誰が回るか三橋に決めて貰おうぜ。そしたら阿部は選ばれないだろうけどな」
「…っ泉お前なぁ!」
「ぷぷ絶対図星だよね〜」
「えっ水谷もじゃない?」
「だぁかぁらぁゲンミツに三橋は俺と回るんだって!」
「だぁぁぁぁもうキリがねぇって!
…ってか三橋いなくね?」
「「「「「「はっ?」」」」」
「………ってか西広もいないよね」
「まじ…?」
「えっでも三橋のチケット…」
「……あっ!そういえばさっきチケットちゃんと持ってきてるのかって西広に聞かれて渡したんだった」
「えっなら…?」
「あっ…西広からメールが来てる」
「何て?巣山」
「えっと、‘三橋は皆で回りたいって言うに決まってるのにそんなことも分からないの?俺たち見つけだせなければもう俺と回るから皆も楽しんで'…だって…」
「……俺さなんか一番腹黒いとか言われるけど、西広が一番なんかじゃないかなって最近思うんだけど」
「…確かに栄口と違った怖さがあるよな」
「…頭もいいしな」
「うん」
「うん。」
「…ってかやばくね?」
「三橋ぃぃ〜」
「とりあえず今までのは全部なしな!全員で西広と三橋探すぞ」
「「「「「おう」」」」」
そうして少し目的が変わった西浦野球部の遊園地は少し波乱を含みつつ皆がはしゃぎ回った1日となった。
因みに西広と三橋はチーム一団となった花井達にすぐ見つけられたものの、三橋はもうすでに楽しそうに笑って西広と手を繋いでいて。そんな姿を見ての怒りとか悲しみを西広にぶつけられる者なんておらず、ただ西広の裏の顔をほんの少し垣間見てしまった休日となってしまった。
「み みんな 固まっちゃってど どーしたの、かな?」
「さぁ?ほんとどーしたのかな。それより皆集まったし次は何乗る?」
「ん〜と、あっ!あれ 乗りたい」
「「「「「!なら俺と」」」」」
結局、皆で回ることとなっても誰が三橋の隣に座るかで揉めるという姿を見ることとなることは………もう言うまでもなかった。
→end