西浦
□バッテリー/アベ→←ミハ
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「三橋っ」
珍しく一人で歩いてる三橋を見つけた。俺が急に声をかけたからか不安げに俺を見上げてくる。
「うぁ あ 阿部君!!」
「珍しいな、一人か?泉とか田島は??」
昼休み…いや、いつもか。
トイレに行くにでも何かと三橋の側に必ずいる二人の姿+応援団長の姿が見えないことは見慣れない光景なことで、野球部や9組の奴らから見たら有り得ないことなのだ。
誰から見てもわかる程三人は三橋を気に入ってる。
そーなる気持ちも分からないことはないのだが厄介だと感じていた。
最初に会った頃に比べたら三橋もだいぶ慣れてくれてると分かる。
大きい声を出したらビビる所は変わってないし、9組のやつら程心を開いてないとしても
三橋は目をそらさなくなった。
びくついてもきちんと目をみてくる。
それは大きな進歩だと思うし嬉しいのだ。
…三橋のことが好きだから。
「た 田島君は花井君に英語の宿題写させてもらいに行って、い 泉君は 教室で寝てるよ。
俺トイレ行きたくて だから 行ってたの」
「そっか。
あーならちょうどよかった。
あんさ、お前今日ミーティング終わった後時間あるか?」
「? 時間 ある よ!」
「お前テスト勉強してるか?
来週から試験休みだけど今回範囲広いだろ、数学なら教えてやれるし
どーする?」
「あべ君 教えてくれるの!!?」
「ま−。野球部の中で田島と三橋が1番心配だけど、この前の試験お前田島より低かったし。
早めにやってた方がいいだろ。
っても数学だけな!!後は田島と一緒に西広に教えてもらえ!!」
「ウヒ うん あ阿部君 ありがとう。」
「じゃぁ放課後な!!
あーっとおふくろがいてうっせーかもだけど俺ん家で大丈夫か?」
「うん よろしくお願いします」なんて少し恥ずかしそうに三橋は笑った。
ミーティングも終わり他の奴らに適当に言って俺達は先に帰ることにした。
二人で並んで学校を出ようとした時三橋が突然足を止めた。
俺がどうしたのか聞くのと同時に…
「タカヤ!!!」
よく聞き慣れた声が聞こえ、
嫌々ながら前を見るとやはりというか思っていた声の主が校門によりかかっている。
−榛名 元希
中学の時バッテリーを組んでた 俺様気質なやつ。
俺が投手を嫌いになった
根本的な原因であるその男が不敵な笑みを向けて立っていた…
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