西浦

□全身から伝えたい/イズミハ
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(…あと 15分…)

11月28日も残りわずかで日付が変わる。
11月29日は俺にとって1番大切な日。

大好きなあの人の生まれた日。
1番に‘おめでとう’って言いたくて、部活が普段通りにあった日に夜中起きてるのは辛くて今横になったら確実寝てしまいそうなくらい眠くても・・
どうしても1番にお祝いしたい。

泉君の誕生日。
−…両想いになって泉君の1番となれて初めて向かえる特別な日。


(あと ちょっと)

前日に作ったメールを何度も読み返した。
変な文にはなってないはず。
あとはこれを送るだけ…

そんな風に思ってると自然に携帯を握る手にも力が入る。


携帯と睨めっこしてる時突然ディスプレーが光りだす。慌てて確認するとそこに写し出された名前に胸が高鳴ってしまった。


「も もしもし!!い 泉君!?」

「おー悪りぃ。三橋もしかして寝てた??」

「ううん!!!起きてたよ!!」

「そっか、よかった。………なぁ今からさちょっと外出れねぇ??」

「い今から??」

「俺さ今 三橋の家の近くいるんだ。 ○×公園までちょっと出れねぇ?」

「大丈夫だよ!! す すぐ行くね」

「おう。外寒みぃからさ暖かい格好してこいよ。」


白いマフラーをつけて自転車にまたがい○×公園を目指す。

……日付が変わるまで残り6分。



家からすぐ近くにある公園にはすぐにつき、公園の中に人影を発見した。

「い 泉君!!」

「三橋!!悪かったな。
なんか今日寝付けねーでさコンビニ行ってたんだ。」

泉君はポケットから何かを取り出し俺の頬っぺにコツンってあてながら、「あげる」そう優しく笑った。
俺の胸が今温かいのは
泉君がくれたまだ温もりがあるココアによるものなのか…
大好きな泉君の笑顔でなのか…



ぼーっとしてて慌てて思いだす。
携帯を確認してみるとちょーどよいタイミングで携帯のデジタル時計が0:00を示した。

「い 泉君!! 誕生日おめでとう!!」

泉君の誕生日に1番に言えて
しかも直接顔を見て言えることに、
嬉しい気持ちと一緒に‘おめでとう’が届くように自然と笑顔になる。

「//おう。サンキュー廉」

「〜//あっあのねこれプレゼントなんだ。」

‘三橋’から‘廉’ってなるのはまだ恥ずかしい。だけどそれ以上に嬉しい。
(きっと俺 今顔真っ赤だ//
泉君 見てなくてよかった。)

プレゼントを嬉しそうに開けてたから泉君には見られてないはず。

「うわっ。手袋じゃん。
まじ嬉しい!!
ほんとーにありがとな。大事に使う」

嬉しそうに俺があげた手袋をつけて顔にあてながら「暖ったけぇ」って幸せそうに言ってくれる泉君を見てたら、俺の方が嬉しくなる。


気づいたら泉君の顔ばっかり見てて 泉君と目が合う。
そのまま顔が近づいてきて…
(あっ キ キスだ)
そう思うまま瞳を閉じた。

しかしいくら待っても唇にあるはずの温もりも柔らかさも伝わってこない。

不思議に思って固く閉じたまぶたを開けてみると
泉君が悪戯してるように笑ってた。
その笑顔に効果音をつけるなら‘ニヤツ’
まさにそれにぴったりな笑顔のまま俺を見ていた。

「うぇ!!? あ あの??」

「ん−。やっぱやめた!!
今日はさ俺がいつもしてるキス、廉からして♪」

「Σ い 泉君!?」

「こーすけ!!」

「う〜っっ// ……こ 孝介君///」

「そっ!! 俺誕生日だもん。な、いいだろ?」

「うぅ。//」

目の前の泉君が目をつぶって待っているとなるともはや断る権利なんて残ってない。
すっごくすっごく恥ずかしいけど、、でもいつもくれる優しさに俺だって大好きだという気持ちを今日は届けたいから…


「い 、いきますよ〜?//」


泉君の肩に触れて覚悟を決めた。


チュ


唇を離そうとして

「…違うだろ。いつもしてるキスはこっちの方!!」

「む 、ぐ!!?」

深いキスに変わった。









帰り道、俺の自転車を押してくれる泉君。
自転車を持ってる手には俺があげた手袋をしてくれて
もう片方の手には俺の手を繋いでくれている。

「本当はさプレゼントに年の分 キスしてもらうってのも考えてたんだ♪
つーわけで それはまた今度の楽しみにしとくから〃」

そう告げた泉君の顔はやっぱりあのニヤってした笑顔で・・

泉君の言葉に恥ずかしくなった俺は、まともに泉君の顔なんて見れなくて。。


だけど幸せだと心のそこから感じた。

今俺の心がポカポカなのは
繋がれた泉君の手

反対側につけている泉君にあげた手袋

少し冷えてしまったポケットに入ってるココア

−…大好きな泉君が側にいること。


『おめでとう。』
『生まれてきてくれて好きになってくれてありがとう。』
『いつも温もりをくれてありがとう』


言葉だけじゃなく全身から気持ちが泉君に伝わるように
ギュっと強く結ばれた手を握りかえした。
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