西浦

□形残るもの/アベミハ
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「あ あべ君 ごめんなさい・・」


「はっ?」




暦では冬だというのに、春を想わせるくらいの暖かさを感じさせる今日、俺は昼飯を一緒に食べようと三橋を屋上に誘っていた。

俺と三橋が付き合ってるというのは別に告げた覚えはないけど チームメート達は気づいてるようで、それならあいつらに隠す必要も遠慮する必要もねぇなって喜んでたのに
あいつらは俺の考えを嘲笑うかのように行動してきた。

俺が三橋に近づくと必ず田島やら泉やら近づいてきて話に加われないようなクラスの話をしだし三橋を引き離してくし、

二人っきりで帰ろうとしても まず二人で話す機会すら作りだせないから願いが叶うはずもなく・・

大人しい方だと思ってた沖や西広までも「投げ方やら野球教えてほしい」だの言って三橋の側にいるし…

とにかくあいつらは俺と三橋を二人っきりにさせないようにしてるらしい。
まぁあいつらも三橋が好きだってことぐらい知ってたけど…。


だからこそ三橋に俺の気持ちを受け止めて答えてくれた時は本当に嬉しかった!!
こいつのこと本気で好きなんだって気づけたくらいだし。
そんくらい好きだと思うやつと二人っきりになりてぇって思うのは当たり前だろ?


特に今日だけはぜってぇ二人っきりになりたかった。
−…12月11日は俺の誕生日。

自分の誕生日なんて今まではどうでもよかったけど、今年はあいつに「おめでとう」って言われたくて 昨日の夜 あいつらに気づかれないように、昼飯持って屋上来いって連絡してしまった。

それが成功して二人っきりになれたって言うのに
こいつは屋上にくるなり青白い顔して涙ためながら謝るもんだから 嫌な予感を感じえてしまう。。


「何?なんでそんな顔して謝ってんの?」

もしかして 別れたいとか…?

そう続けたい言葉が かっこ悪ぃけどびびって出てこない…
恋人らしいことなんて何一つせず 告白する前と変わらない関係の中で冷静をとり戻して 自分の気持ちの誤りに気づいてしまったんじゃねぇか・・・こいつなら有り得る。


今もなお何も話さない三橋に向かって 聞きたくないが話をもう一度促してみると
三橋がポツリポツリ話しだした。

「う、あ あのね。お おれ 阿部君 の欲しい物が おもい 浮かばなくて、プ プレゼント 用意 できませんでした…」


「……プレゼント?」

「き 今日 あべく た誕生日……だよね?」


「あ うん。 …はっ?!まさかそんなんでお前そんな泣きそうな顔してんの?」

「‘そんなん’じゃないよ!!今日はお 俺にとっても 大切な日だったのに…うぅ」


「お前にとっても?」


「大好きな 阿部くんの誕生日だ。だから俺に とっても特別な日・・なのに オレ ずっと思いつかなくて 皆に 聞こうと思ったけど 俺が知らないの皆が知ってたら か 悲しい。

だけど用意できなかったから……ほんとオレ馬鹿だ。」


あぁもうなんなんだこいつ///

「ほんと馬鹿だな」

「ぅう;…はい」

「俺にプレゼント何かあげたい?」

「はい。」

「俺の欲しいもの?」

「う うん!!」


「なら、ちょっと三橋こっちきて〃」

向き合ってた形になってた所から隣に来るよう合図すると テトテトと隣にやって来る三橋。

初めての記念だから、やっぱり・・・


【カシャ】


形に残るものがいい♪


「あ あべく////」


「…クク お前顔赤すぎ。
ってか俺お前から聞いてないよ?」


「??……………あっ!!!
阿部君、誕生日おめでとう」






俺と三橋の初キスは携帯の中に。。
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