西浦

□あけおめーる?
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28日、年内最後の練習も無事終わった。
これから4日の年初めの練習までお休みとなるとやっぱり寂しい。


本当に一年経つのが早く感じた。
西浦にきて皆と出会えてから毎日が早くて、もっと長くていいのに…
こんだけ早かったら皆と野球出来なくなる日がくるのも……すぐ来ちゃいそうで……
もっとゆっくり進んでほしい。
こんなに楽しいって思えるのは初めてのことだから過ぎ行く日々についていけてない・・。

三星にいた頃はあんなに一年が長く感じたのに。早く卒業したいっていう気持ちばかりだったのに。



「三橋?どーしたのボーっとして。」


「うぇ!?…あ 栄、口君」

「…三橋大丈夫?泣きそうだよ?」

「うぉ!!??」


気がついたらコンビニのひかりが霞んで見えて…気を抜くとすぐに零れてしまうくらいに涙が貯まっていた。


「えー何、なに?」

「大丈夫か?」

栄口君の声で皆集まってきて心配そうに声をかけてくれた。

「み 水谷君、泉君。
みんなご 御免ね 大丈夫だから。」


「悲しいこと?」

「ううん、ち ちがよ。
お 俺ね本当に西浦きてよかったなって思って。」

「うん。」

「皆と野球できて、み皆優しくて」

「うん」

「そんで…」

皆真剣に俺の話を聞いてくれていて泉君が頭をポンポンってしてくれた。

「そんで、今こんなに楽しかったら悲しい」

「ん?楽しいのに悲しい??」

「だぁからさ、三橋は今こんなに楽しいから卒業するのが悲しいってことだろ?皆と野球できなくなること考えてしまったんだよな?」

言葉が足りない三橋の言葉を見事田島が解釈したことで「あぁ」って皆納得しだす。

「はぁ?んなことで泣くな!!」

「ひッ;ご ごめなさい」
「あべ!!
んでも三橋も泣くなよ。まだ俺達一年だぞ!!まだまだお前の好きな野球できるって」

「さすがキャプテン〜いいこと言うねぇ」

「うっせぇ水谷!!」


「でも花井の言う通りだよ?まだまだ三橋は俺達と沢山野球できるし、それに俺達甲子園目指してるんだから。。これから後輩も入ってくるし寂しいなんて思う暇なくなるよ!!」

「みぃはし。来年も沢山野球しような!!んでんで休みの日はさ遊び行って思い出いいっぱい作ろうな!!
あっ大晦日あけおめメールするからな!!」


「うぉ?!あ あけ、おめーる??」


「そ!!夜起きとけな」

首に腕を回されてニカって田島君の笑った顔みて、あけおメールっていうのがよく分からなかったけど 皆も田島君みたいに笑って「俺も」って言ってくれて…

「ウヒ//ありがとう」

やっぱり皆優しい、大好きだって思う。









そして大晦日。
おれは群馬のお祖父ちゃんの所にいて おそばも食べてさぁ寝ようかなってお布団に入った時さっきまでずっと静かだった携帯がなりだす。

時刻は11:59分。
名前を確認したら水谷君。

そして0:00になった途端から田島君を先頭に皆から時間をあけずにメールを受信しだした。

「ウヒ//誕生日の時みたいだ」
田島君が言ってたあけおメールっていうのはこのことだったんだって思いながら
一人一人の文を読んで自分も返信しようと作って送信。


それなのに<送信できませんでした>っと返ってくる。何度やっても他の人にやっても・・


嫌な考えしか浮かばなくて涙が出てそんな時に泉君から電話がきた。


「よっ。あけおめ!!!田島達が皆メールでするって言ってたからさ、俺は電話にしてみた」


「う い いずみく」


「ちょ、三橋!!?どーしたん??」



「あーそれな、正月だからメール止まってんだよ!!皆同じ時間にメールするからさ。フ、なにもしかしてアドレス変えられて教えられてないとか思った?」


「うぐ;」

「ほんと三橋は馬鹿だなぁ。大丈夫だってあいつら皆お前のこと好きだぜ?見てて分かんね?」


「うぉ!!俺も皆すきだ!!!!…い 泉君も?」

「あ?あぁ俺も!!!
だから今年もよろしくな三橋」





幸せだって言ったら泉君は「普通だ!!」って笑ってた。
でもおれは幸せだよ。
皆と出会って大好きな仲間と大好きな野球ができて。


泉君が言うこの嬉しいことが普通なら…俺はこの『普通』をずっと大事にしたいな。



ありがとう。
これからもよろしくね。


今年も皆でいっぱい いっぱい笑っていきたいです。






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