西浦

□あと一歩が踏み出せずにいた/イズ→←ミハ
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気持ちを自覚してたのは一年の頃。
あれからずっと自分の気持ちを隠していた。

ばれないよう

駄目なんだって何度も自分に言い聞かせた。

クラスも変わって時間がたてば大丈夫なんだって何度も何度も・・。


だけど駄目だった。
11月になればそわそわしちゃうし、廊下に出れば姿を探してしまう。

同じクラスの女の子からその名前が出れば胸が押し付けられそうな気持ちだった。


一年の頃から女の子の中で人気があったことは知っていたけど三年になって背が伸びて声も少しだけ低くなって…




あの頃の泉君と少し変わった泉君をずっと見てたからこっちに気がついた。


「どーした三橋、ぼーっとしてんぜ?ご飯粒ついてんし」


「うぉ!うっとえっと」

「落ち着けって。ほんと三橋は変わんねぇーな」


「うぐ。い 泉君は変わりすぎ、だ!背…ずるい」


「だろ〜やっと兄貴と同じくらいになったんだぜ!ってもまだチビ扱いされんだけどな。でも三橋も背伸びただろ?」


「だからまだまだ」とか言いながら紙パックの牛乳を飲む姿や背が伸びたことを喜ぶ顔はやっぱり俺の知ってる泉君で少し可笑しかった。


「久しぶりだよな。こうやって話すの。クラス変わって部活も終わって中々話す機会なかったもんな」


「うん。だからびっくりした、 メール。お 俺も泉くんと、は 話したかった から」


本当にびっくりした。
授業中携帯のバイブが震えて、メールをみた瞬間決めたんだ。
これが最後の機会だって。
今しかないって。


「あの、あのね!!うっ、とお おれ、ずっと「ストーップ!!」うぐッ」



目をつむって勢いで言おうとした俺の口を塞いで泉君が大きな声をだした。
少し焦ってるような気がする。さっきまで飲んでた牛乳が屋上の床に倒れて零れていた。

「はぁ〜。三橋ほんと変わんねぇ。
変な所でいきなり男前になるよな。
…今まで俺が悩んでたのがすっげぇアホらしいじゃん。」


「うぇ?」

「これは俺が先に言いてぇの。」



困ってた時に泉君はすぐ助けてくれた。
側にいてくれた。
大丈夫だって笑って声をかけてくれた。
いつも優しくてかっこよくて、
好きになった。
他の皆と違う感情を持った。

だから…ずっと見てたから分かる。

泉君の言葉が少しそっけなく感じるのも、
俺の頭を髪がぐしゃぐしゃになるくらい強く撫でるのも、
一度目を反らすのも照れてる時の姿。


だけどここって時は目を反らさずじっと見て、
いつでも泉君の方が男前なんだ。

…やっぱりずるぃ。


だから俺もじっと泉君の顔を見て負けないようにこう言った。





「三橋のことが好きなんだ」
「泉君が、す 好きです!」





ずっと好きだった。
気持ちを隠してた。
側にいたくて、いてほしかった。
自分の誕生日に1番にメールをくれた三橋。
三橋は自分が思ってる以上に皆から好かれていて、いつも焦ってた。
でも何も出来なかった。

クラスも変わって部活も終われば関わりなんてこんなもんかってくらい俺にはなくて。
阿部が羨ましかった。

だからびっくりした。
一行のメールだったけどずっと三橋を見てたから。きっとメール送るだけで悩んでたと思う。


だから今しかないって。
ぐちぐち悩むのは俺らしくねぇし。


今だ授業中だけど俺は携帯から新規作成をひらいた。







11/29 0:00
送信者 三橋
sub notitle

泉君 誕生日 おめでとう



¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨
11/29 11:38
送信者 泉君
sub 屋上で待ってる。

昼、一緒に食おーぜ。


¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨





(なぁ三橋ずっと俺のこと見てただろ?)

(…っつ//な なんで!?)

(だって俺も三橋のこと見てたから)




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